「世界でいちばん息苦しい映画館」スウェーデンの映画祭が仕掛けた体験型企画
Case: The World’s Most Claustrophobic Cinema
スウェーデンの映画祭Göteborg Film Festivalが仕掛けた体験型企画をご紹介。
「Netflixなどのネット配信サービスでは味わえない映画体験を提供しよう」というテーマを掲げ、映画の主人公たちと同じ「息苦しさ」を文字通り体感できるシネマブースを開設しました。
棺の形をしたシネマブース。いったん中に入ると、寝返りすら自由にうてません。
スタッフに「納棺」され、重いフタを被せられると上映開始です。
上映されるのは、ハリー・マーティンソン監督の映画「アニアラ」。荒廃した地球を脱出した宇宙船が制御を失い、どうすることもできないままゆっくりと終末を迎える乗組員たちの姿を描くという、あらすじだけでもヘビーな作品です。
脱出不可能な空間に閉じ込められながら、おなじく「脱出不可能」な状態にある主人公たちを見守る── スマートフォンの「ながら見」では味わえない、凄まじい感情移入とスクリーンへの没頭を参加者たちは体験することになります。
2時間にわたる上映が終了し、棺のフタを開けられると参加者たちは…
「凄まじい体験だったよ。文字通り“目をそらすことができない”んだ。」
この『世界でいちばん息苦しい映画館』。体験チケットは28回にもわたって売り切れとなる大盛況となり、1.2億回のメディアインプレッションを獲得。353万3,532ドル(≒日本円で約3.9億円)相当もの広告効果を生み出しました。
密閉された空間でストーリーに没頭し、全身で感情を揺さぶられる── 映画館で味わえる体験を極限まで濃厚に表現した、センスあふれる企画でした。
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