縦型動画と横型動画 相性のよいコンテンツは?–テレビ東京『○○と新どうが』 #1

気鋭のクリエイターが、アーティストや俳優などの表現者とタッグを組み、新しい形の動画作品を制作する番組『○○と新どうが』(テレビ東京で月~木曜 深夜1時30分/金曜深夜1時53分より放送)。完成作品は「LINE LIVE」にて「Portrait Film Project」としてアーカイブ。番組放送と連動しての生配信なども行われています。

AdGangでは、この『○○と新どうが』で動画作品を手がけたクリエイターに取材。作品の内容とともに、制作過程で感じた”縦型動画”の可能性なども伺っていきます。

OA第1弾は、株式会社 AOI Pro. 企画演出部 隈本遼平さんによるもの。でんぱ組.inc・最上もがさんを被写体に、”回転動画”としてセットとカメラをそれぞれ回転しながら撮影。最上さんがギャルや主婦など様々な役に夢の中で変身するイメージの作品を手がけました。今回は隈本さんと、プロデューサーの佐藤勇哉さん(株式会社Quark tokyo)にお話を伺いました。

スマホの自由に持ち替えられる点を活かす

この動画はスマホならではの自由に持ち替えられる点を活かし、斜め・縦、様々な角度からの体験を楽しめるようにというコンセプトで作られたそう。LINE LIVEで配信される点を加味し、再生時にコメントが出てきた時に、それらのコメントも映えるような形で制作したとのことです。

「夢の中でいろんな人になる」というテーマで撮影された今作。セットも、撮影に利用したスマホも回しながらの撮影となりました。「衣装がいくつか変わるので、スマホを1回転半させたところまで撮って、また(次の衣装で)1回転半のところから撮りましょうと、衣装の切り替え時にその角度から始めるという作業を繰り返しました(隈本さん)」とのこと。衣装のコンセプトは最上さんからも「全く違う人」というアイデアが出て、子供のいる主婦やギャルなどの設定の衣装の様子も盛り込まれています。

縦型動画と”人”の相性の良さ

隈本さんは昨年2016年にlyrical school「RUN and RUN」のスマホがジャックされたように感じるMVでも縦型動画を手がけ話題に。今回また縦型動画を手がけてどう感じたか、AOI Pro. グループ内でオンライン動画を手がける佐藤さんとともに伺いました。

隈本:広告での活用も増えたなと思いますね。映画の広告でも活用されたり、フィットされているものが結構生まれているように感じます。今まで使われてきた横の画面での映像を縦型向けに置き換えたら、まだ色々やれることはあるなと感じました。たとえば、別のお仕事でショートドラマをスマホ向けに制作したのですが、縦型はずっと見ていても楽なので、物語っぽいものは出来たらいいなと思いますね。

―やはり人物が登場するものが相性良いですか?

隈本:人を撮るのが相性良いですね。複数名もあると思います。風景を撮るときはやはり横の印象がありますね。

佐藤:Snapchatが縦型動画の文化を作って、Instagramの Storiesも流行っていますよね。そんな中で成立しているのはやはり風景だけのストーリーはなく、自分が動くか人が動いているものだなと。空間に引き込むものは縦じゃなく、横の方がいいと思いますね。平面的に楽しんだり、体験を楽しむものは縦。風景ならば縦で提案するならば360度にして体験で楽しんでもらうのが良いと思います。

―縦型動画を作ってみたいというクライアントさんのオーダーも増えましたか?

佐藤:そうですね。ただ、僕らは一つの選択肢に過ぎないと思っていて、商品が16:9(横)の方が見せやすいものであれば縦じゃない方がいいと逆に提案することもあります。本質的に、その被写体を写すにはどちらがいいのかということを考えることが必要です。クリエイター側は「どっちが向いているんだろう」と提案していった方が良いのではないかと思いますね。

―今回はLINE LIVEでの配信をイメージした動画でしたが、配信動画というフォーマットについてはどのように感じましたか?

隈本:個人的な動画をアップして、そこにコメントし合う媒体の特徴は感じました。YouTubeのように作品を格納するものとはまた異なると思います。

佐藤:LINE LIVEを最上さんと隈本でやった時もすごくコメントが来るんです。放送中にコメントを拾うとまたコメントが増えて、ユーザーが”参加”をするんだなぁと思いました。また同じ配信でもYouTuberがYouTubeでライブをするのとはまた異なるなとも感じていて。この場合は絶対的にファンがくるんですよ。今回は、全員が最上さんのファンでもなく、隈本を知っているわけでもない、そんな中でも盛り上がるのが面白いところだなと感じました。
MixChannelでも告白を応援するライブが盛り上がったりするように、配信はやはり体験を楽しんでもらい、YouTubeやVimeoは作品を落ち着いて見たいという時に良いのではないでしょうか。

隈本:媒体の特性として配信を見ているユーザーが多いので、Twitterのようにこれ自体を拡散させるというよりは、たくさんいるユーザーの中で盛り上がれるんだなと感じました。長くしゃべっていても増えたり、コメントがつくというのは面白かったですね。

『○○と新どうが』次回は6月28日25時30分よりOA。松江哲明さんとEXO-CBXによる動画がOAされる。

「最上もがと新どうが created by 隈本遼平」 https://live.line.me/channels/21/broadcast/2448207

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