シリアの子供が電話で過酷な現状を訴える。ユニセフの啓蒙施策「The Syrian Number」
Case: The Syrian Number
2011年に勃発し、今もなお続いているシリア内戦。およそ500万人もの人が戦火を逃れるため祖国を離れ、また国内でも600万人以上が避難生活を強いられています。
この3月で7年目に突入するこの紛争について、そして家や家族を亡くすなど過酷な状況に置かれれた人たちの現状を知ってもらうため、ユニセフはスウェーデンで『The Syrian Number』と題した啓発プロモーションを打ち出しました。
これは、昨年同国の政府観光局が実施した『世界中からかかってくる電話にスウェーデン国民がそれぞれスウェーデン代表として応答し、自由にスウェーデンを語ってもらうキャンペーン“The Swedish Number*”』に習ったもので、今回はスウェーデンに住む人たちに、シリアに電話をかけてもらおうという取り組みです。
[*The Swedish Numberは2016年カンヌで高い評価を受け、ダイレクト部門グランプリ、サイバー部門ゴールドを受賞した試みです]
公開された番号『+46 85-511-7864』にダイヤルすると、英語の自動音声で「シリアに住む家族にお繋ぎします。」とアナウンスが応答。
その後少し待つと、今度は子供の声で録音された留守番電話が流れ、シリアに住む子供たちが自らが直面している現実を語ります。
「ごめんなさい、今は電話に出られません。」
「悪い人たちから逃げるために、家を出なければいけないの。これから何が起こるか分からなくて、とても怖い。安全なカナダに行きたいけれど、とても遠いんだって。できたらカナダで会いたいな。」
「今夜家族と一緒に逃げなければいけないから、しばらく電話には出られません。車でヨルダンに向かうのだけど、あちこちに銃を持った人が立っていて怖いわ。でもシリアにはもういられない。荷物の支度をしないといけないから、もう行くね。さようなら。」
難民の受け入れに寛容なヨーロッパ諸国の中でも、スウェーデンは先進国と言われてきましたが、近年では許容量を上回る難民が押し寄せたことにより、政策の転換を余儀なくされています。
ユニセフでは、そのような情勢を踏まえながらも、もう一度人道的見地に立ち返り、危機的状況に置かれている人たちのために多方面から支援をしていこうと呼びかけています。
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