石原さとみの“もぐもぐ顔”に「かわいい」の嵐! 屋外広告を活用したPR戦略のポイントに迫る

Case:明治果汁グミ『もぐもぐセルフィースタジオ in Harajuku』

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は、東京・原宿で5月1日〜5月14日まで期間限定でオープンした明治果汁グミの自撮り専用屋外広告『もぐもぐセルフィースタジオin Harajuku』について取り上げます。企画の経緯から、石原さとみさんが引き出す商品の魅力、自撮り文化の特徴を活かした看板デザイン、そしてSNS上の拡散を狙うPR戦略まで、株式会社読売広告社 コミュニケーションデザインセンター の皆川壮一郎さんにお話を伺いました。

Interview & Text : 坂巻 渚

CMに寄せられた声をヒントに。新しい自撮りポーズ“もぐもぐ顔”が誕生。

—まずは、今回「自撮り専用屋外広告」を実施することになった経緯から教えていただけますか?

皆川:明治さんから、果汁グミの“噛み心地の良さ”を伝えることを目的に、オーガニックのシェアが見込める面白い企画をしたいとご相談いただいたのが始まりです。明治さんは果汁グミのCMでここ数年石原さとみさんを起用しているのですが、石原さんのグミをもぐもしている姿が可愛いと、視聴者からものすごい人気なんです。そこから、女の人がもぐもぐしている姿はそもそも可愛いよね、という話になりました。特にターゲット層の10代から20代の女の子たちの間には自撮り文化が根付いていて、虫歯ポーズ“や“ガオーポーズ”など人気の自撮りポーズがあります。そこに新しく“もぐもぐ顔”が入り、果汁グミのPRにつながればと考えました。

—女の子からも絶大な人気がある石原さんなら、ポーズを真似したい女の子も多そうですね。

皆川:そうですね。石原さんに憧れを抱いている女の子は非常に多いと思います。昨年は「ぷにぷにダンス」という、やはり石原さんが登場するWeb限定の動画を作ったのですが、これがものすごいスピードで拡散され、メイキングだけでも50万回、本編に関しては300万回ほど再生されました。
ただ石原さんほど魅力的な方だと、ついつい広告もタレントさんのPRになってしまいがちなので、企画を考える際には、いかに石原さんに商品の魅力を最大限に引き出してもらえるかを意識しています。

—Web動画から一転し、今年は「自撮り専用屋外広告」ということですが、沢山の方に自撮りをしてもらうためにデザインも色々と工夫されたのではないですか?

皆川:はい、自撮り文化の特徴を考えて今回は3つのポイントを工夫しました。1つ目は、「最高のお手本」です。10代から20代の女性は、タレントさんのSNSをフォローしたり、自撮り用アプリを使うなど、いかに可愛い自撮り写真を撮るかについて非常に研究熱心です。そこで、石原さんに3つの自撮りポーズをしていただき、みんなが真似したくなる最高のお手本になってもらいました。
2つ目は「イケてるフレーム」です。自撮りしている人たちを見ていると、写真の背景にもかなりこだわっているんですよね。イベントでよく見かけるインスタグラム風のフォトフレームもその1つだと思います。そこで看板には予めフォトフレームをデザインし、素敵な背景を用意しておきました。
3つ目は、「ハッシュタグ」です。僕は普段からハッシュタグは免罪符だと考えています。例えば、「#メイク濃すぎた」「#寝起きですいません」「#痩せなきゃ」などのハッシュタグは、自撮り写真の言い訳をしてくれるとても便利な存在です(笑)。今回も自撮りを恥ずかしいと感じる人が多いと思い、「#グミをもぐもぐしているだけです」というハッシュタグを予め用意しておきました。

<もぐもぐ顔 ボ〜ノver.>

<もぐもぐ顔 おすましver.>

<もぐもぐ顔 食いしん坊ver.>

見たら思わず自撮りしてしまう 、“擬似インタラクティブ”なデザイン。

—看板のデザインには、自撮りをしたくなるポイントが沢山詰まっているのですね。

皆川:最近アプリが必要だったり、屋外広告でも警備員が必要だったりと手間やお金がかかるキャンペーンが多い中、シンプルにデザインの力だけでキャンペーンに参加してもらうことを重視しました。僕はこれを「擬似インタラクティブ」と呼んでいるのですが、実際にはデジタル上で一切繋がっていないのに、そのデザインを見ただけで「思わず○○してしまう」状態にさせることを言います。今回は、「思わず自撮りしてしまう」デザインを意識し、それを実現できたと感じています。

—「擬似インタラクティブ」とは新しい言葉ですね!そうすると、看板を設置する場所も重要になってきますよね。

皆川:はい、場所は原宿と表参道の間という若い女の子たちにとって非常にシンボリックで、かつフォトジェニックな場所を選びました。特に今回は、看板の前で自撮りをしてもらうキャンペーンだったので、通行人の邪魔にならないよう、看板の前にスペースがあるということも重要なポイントでした。

—石原さんの撮影は順調でしたか?

皆川:とても順調でした。1つのポーズをお願いすると、それに対して何パターンもポーズを試してくださるんです。女性スタッフからの「可愛い!」の歓声もすごかったですね(笑)。本当にいい写真ばかり撮れて、3枚を選ぶのにめちゃくちゃ苦労しました(笑)。

場所とデザイン次第で屋外広告はPRネタに。 SNS上での拡散を狙うPR戦略。

—女性系メディアを中心に、沢山の記事が取り上げられていましたよね?

皆川:100弱程のメディアさんに記事を取り上げていただくことができました。 “もぐもぐ顔”だけではなく、原宿というシンボリックな場所に1ヶ所拠点を持つことでそのニュース性を増すことができたと思います。実際に、「行きたい!」「どこでやっているの?」などのコメントも沢山いただき、嬉しかったですね。
従来の屋外広告というと何人の人に見てもらえるかに焦点が当てられがちですが、今回はPRネタとしてまず看板をシンボリックな場所に用意し沢山の方に集まってもらい、その後ターゲットと親和性の高いメディアに記事を取り上げていただき、最終的にはそれらの記事がオーガニックにシェアされることを狙うということを戦略的に考えました。

—実際にSNS上での反響はいかがでしたか?

皆川:記事のシェアが圧倒的に多かったですね。特に女性向けメディアの記事は怒涛のシェア数で、屋外広告でありながら、費用対効果の高いWeb広告の役割も果たすことができ、非常に良かったと感じています。
今後も広告でありながらコンテンツとして楽しめる、シンプルかつ拡散性のある企画を考え続けていきたいと思っています。

株式会社読売広告社 コミュニケーションデザインセンター 皆川壮一郎さん

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