あなたの“声”がその暴力を止めます。DV阻止を実体験できる「生きた看板」

Case: Live Billboard

11月25日に定められている「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に合わせ、スイスの慈善団体・Frauenzentrale Zürichが、ユニークなプロモーションを実施しました。

女性が夫やパートナーから受ける身体的、精神的暴力に対しては、被害者が助けを求めるのがまず第一ですが、それと同じくらい重要なのが『周りがDVに気づき、声をあげる』こと。夫婦の、恋人同士の問題だからと介入することをためらってしまうと、事態の深刻化につながりかねないからです。

このことを広く人々に知ってもらおうと、Frauenzentrale Zürichは、市民が多く集まるショッピングセンターにでデジタル看板を設置しました。

画面にはまず、「あなたには(DVを)阻止する力があります。マイクに向かって話してください」というメッセージが表示され、その後夫婦と思われる男女が自宅で言い争っている様子が映し出されます。

夫は「仕事でストレスが溜まっているんだ」と言いながら妻の行動に文句を付け始めました。「なぜ夕方まで家に帰ってこない?」「今週だけで何度買い物に行った?」

通りすがりの人たちは、最初のうちは怪訝な顔でスクリーンを見つめていますが、映像の内容が家庭内暴力だと分かると、顔をしかめたり、戸惑ったような表情に。しかしこの時点では、まだ誰も何も言いません。

激高した夫は、ついに妻に罵声を浴びせながら掴みかかりました。妻の身に危険が迫ったその時、映像を見ていた買い物客のひとりが「やめて!」と大きな声をあげたのです。

すると画面の中の男は動きをとめ、こちらへと向かってきました。実はこの映像はプロモーションのためにライブ配信されいるもので、女性客の声が聞こえていたのです。

「何か文句あるのか?お前に関係ないだろ!」と画面に向かって怒りをあらわにする男に、女性も負けじと言い返します。「彼女を離しなさい!」「ストレスを発散したいなら、別の方法を見つけて。」そう言い切ると、周りで見ていた人からは拍手が。

DV被害者は、加害者への恐怖や世間体などから、暴力を受けていることを身近な人にも相談しないケースが多く、事実、スイスでは配偶者暴力が原因で命を落とす女性が少なくないそうです。

Frauenzentrale Zürichは、被害を受けている女性たちに支援の手を差し伸べるため、そしてDVをなくしていくために、この動画をシェアするよう呼びかけています。

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