JALの客室乗務員が初音ミクの曲で踊る!意外な組み合わせが実現した理由

Case: JAL「ニコニコ超会議」

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今年の上半期、意外性のある組み合わせとして話題になったJALの現役客室乗務員によるチアリーディングチーム「JAL JETS」が初音ミクによる「39」を踊ってみた動画。これはJALが「ニコニコ超会議」に出展し「最高のおもてなし」として、移動が不便なイベントホールアリーナと客席を繋ぐための「超階段」(ステップカー)やフライトシミュレーターなどを展開したことに連動した仕掛けでした。

これらの展開の狙いについて、株式会社 JALブランドコミュニケーション WEB戦略部 マーケティンググループ グループ長 関口和生さん、日本航空株式会社 Web販売部 1to1マーケティンググループ 濱田卓さん、日本航空株式会社 Web販売部 Web・コールセンター企画グループ アシスタントマネジャー 藤山健治さんにお話を伺いました。

Interview : 石原 愛美(Aimi Ishihara)/Text : 市來 孝人 (Takato Ichiki)
「一緒にお祭りに参加している」ということを表現

—まず、JALさんが「ニコニコ超会議」に出展ということも意外な印象でした。その経緯とは?

関口:JALをよくご利用頂くお客さまは年齢層が少し上の方が多く、調査をすると若者に対するアピールが弱いという結果も出ていました。そんな中ニコニコ動画さんとは広告出稿でおつきあいがあったので「出展いかがですか?」というお話を頂いて、昨年の「ニコニコ超会議」をまずは観に行ったんです。これまで弊社が参加しているイベントとも客層が異なるし、感度の高い方が集まっているように感じたのでこれは絶好のアピールの場になるだろうと思いました。

—出展内容については、どのように考えられたのですか。

関口:「広告っぽいものにすると逆の方向に反応しちゃうので、お客さまに本気で向き合っていますという姿勢を伝えたほうがいいですよ」とドワンゴさんからアドバイスを頂きました。「JALも一緒にこのお祭りに参加しています」ということが分かりやすいものって何だろう?と考えた時に、私たちにできる「本気」は「本物」(実際に利用しているもの)を持って行くということでした。

同時に出展場所を決めなくてはいけない状況になり、「本物」「(出展)場所を活かせる」「お客さまに喜んでいただく」を必死に考え行き着いたアイデアが「ステップカーを持って行こう!」でした。これならば、お客さまの導線確保に役立つし、「本物(ステップカー)」も持って行ける。まさに起死回生のアイデアでした。

濱田:ステップカーを置くことで会場の導線としても活用出来ますし。ただ、そもそもステップカーを持っていけるのかとか、イベントホール内の天井にかからないかとか、色々調整は必要でした。

関口:いわばこれを使って「降りるだけ」なんですけれど、予想以上に反応があって。宣伝っぽくないし、「ここに階段がある」というユーザーさんの会場内での利便性もアップした点で、面白がってくれたのではないかと思っています。

他にも実際のパイロットに教えてもらえるフライトシミュレーターや、客室乗務員や整備士の制服を着て撮影が出来るブース、国際線ファーストクラスが体験出来るブースも設けました。

—そして今回話題になった「39」を踊る動画ですが、こちらを企画された理由は?

関口:ドワンゴさんが超会議のお話をされる時におっしゃることが「(出展社)の本気度を見せて下さい」ということだったんです。「当日までの流れも見せていったらお客さんも注目してくれますよ」、というお話も頂いていて、実は「客室乗務員の皆さんに踊ってもらえませんか?」というアイデアも出ていたのですが、いろいろな制約もあって。

ただ客室乗務員が踊るといえばJALにはCAのチアリーディングチームの「JAL JETS」というチームがあるな!と。当日までの日はもう浅かったのですが、彼女達にお願いする事にしました。

藤山:みんなフライトで色んな街を飛び回っているので、合わせられたのは一回だけでした。

「よく公式でやったね」などと、意外に思って頂けた

—「JAL JETS」の皆さんの反応はいかがでしたか?

濱田:最初はあまりピンときていなかったようで(笑)、「ニコニコ超会議」とは、初音ミクとは…と一つ一つ説明していきました。

藤山:そうして練習を進めてもらう一方、ブランドを管理している部門や、広報など、各所にも話を通ってOKになったのが実は3日前位でした。

—メインの三名はリーダー格のメンバーなのでしょうか。

藤山: 人数はおおよそ18人いるのですが、時間が限られた中で覚えてくれる、かつニコニコ動画のカルチャーに理解がありそうな人にピンポイントで声をかけていきました

—「JAL JETS」が生まれた元々のきっかけは何ですか?

濱田:経営破綻の前までJALにはいくつかスポーツ部があったので、それらの競技を応援する目的がJETSの始まりですね。その後経営再建にあたってスポーツ部は廃止になりましたが、チアリーディングは続けていて社内外のイベントで活躍しているんです。

—コスチュームは新たにご用意されたのですか?

藤山:動画については元々のもの、当日のステージで踊った時は新しく用意したものです。

—当日、ステージの様子はいかがでしたか。

濱田:思ったよりも女性の方も見て頂いていました。また、(その模様を放映していた)二コ生を見ていたところコメントも好意的でとても有難かったです。

—動画の方の反響は。

濱田:ニコニコ動画で約34万再生を記録したのですが、コメントを見ていても「よくこんなことを公式でやったね」などと意外に思って頂いて、ニコニコ超会議のチャンネルの公式動画の中でも上位2つめ位の評価を頂きました。ユーザーの反応をリアルタイムで知る事が出来たのも良かったです。

関口:今後も折角繋がったユーザーさんと継続的に繋がっていかなければと思っていますし、今回新たにいろんなメディアさんにも取り上げて頂いたので、引き続き若い方とどうやって密なコミュニケーションをしていくべきか、考えていく必要があるなと感じているところです。

濱田:社内でも2回目はいつ?などと言った反応も出てきましたよ。

—ちなみに出演された「JAL JETS」の方にはどうしたら会えるんでしょうか…?

濱田:本当に現役の客室乗務員なので、飛行機に乗って頂れば「あっ!」と気づくと思います(笑)。

株式会社 JALブランドコミュニケーション
WEB戦略部
マーケティンググループ
グループ長
関口 和生さん(中)
日本航空株式会社
Web販売部
1to1マーケティンググループ
濱田 卓さん(右)
日本航空株式会社
Web販売部
Web・コールセンター企画グループ
アシスタントマネジャー
藤山 健治さん(左)

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