Audiの「Lunar Quattro」、2017年に月面に向けて発射へ
Case: Mission to the Moon
Google Lunar X Prize(グーグル・ルナ・エックスプライズ)をご存じですか?
Xプライズ財団が運営し、Googleがスポンサーとなり開催している、民間開発の無人探査機を月面に着陸させることを競うコンテストで、最初に月面に着陸させ、着陸地点から500メートル以上走行し、指定された高解像度の画像、動画、データを地球に送信したチームに、賞金2000万ドルが贈られるというコンテストです。
現在、日本、アメリカ、ドイツ、イタリア、マレーシアなど様々な国から18チームが参加しています。今回は、ドイツのエンジニアリンググループ・Part-Time Scientistと共に参戦している自動車メーカー・Audiの無人4輪探査機プロジェクトをご紹介します。
2015年のカンヌ ライオンズの期間中に開催された「Innovation Days」でAudiが明らかにした無人探査機「Audi lunar quattro」の全貌がこちらです。
Audiがタッグを組むPart-Time Scientistは、10~35名の技術者からなるエンジニアグループであり、2009年から無人探査機の開発に取り組んでいます。これまで2つの試作機を開発したといいますが、今回はAudiと共同開発するにあたり、Audiがミュンヘンに持つ先進設計スタジオを利用することができ、自動車だけでなく様々な製品のデザインを手掛ける施設で、単にエレガントであるばかりでなく、実際に月で機能する効果的なデザインを追求することができたといいます。
Audiのデザイナーは、今回明らかにした無人探査機は、月面走行を可能にするために細部まで詳細に設計されていると同時に、全体としてはAudi車の優美なブランドイメージを彷彿とさせるデザインに仕上がっていると話しています。
「Audi lunar quattro」の技術的な特徴は、Part-Time Scientistにより検証されています。無人探査機はソーラーエネルギーを用いて自家発電しますが、日没後の走行に備えて、予備的なバッテリーがシャーシに備えて付けられています。
また、各車輪はハブ内の電気モーターによりそれぞれ個別に作動する他、それぞれ360度回転し、月面の岩の上の走行を可能にします。Audiのエンジニアリング技術を用いていることから、「e-quattro」と名付けられました。
ナビゲーションに関しては、無人探査機に搭載されているカメラを使用します。3機搭載されているカメラの内前方に設置されている2台は、3Dの地形図を読み込み、残りの1台で地球に送信する高解像度の画像を撮影します。
「Audi lunar quattro」は更なる改良と試験を施し、2017年末までには月面に向けて打ち上げられる予定であるといい、開発チームは「Audi lunar quattro」を、あのアポロ17号が1972年に着地した同地点に着陸させることを考えているそうです。
同無人探査機は理論上最大時速が3.6kmと計測されているため、月面着陸後30分でコンテストの走行距離500mを達成するものと思われています。自動車ブランドaudiの夢のある革新的なプロジェクトのご紹介でした。
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