政府に150万ドルの追加予算を捻出させることに成功! ユニセフ パラグアイの“喪に服すおもちゃ”PR施策

Case: Toys in mourning

南米大陸の中央に位置するパラグアイでは、医療体制が充分に整っていないため、大勢の新生児が予防可能な死因によって命を落としているといいます。

このような事態を憂慮したユニセフ・パラグアイは、政府当局に対して、新生児に係る医療や健康教育への投資を促すために、“おもちゃ屋を喪に服させる”という企画を実施し、見事政府を動かすことに成功しました。

パラグアイの保健省によると、国民の健康医療に対する予算が充分確保出来ていないため、医者が不足し、医療技術も向上できず、過去20年間に渡り、毎日平均4人の新生児が回避可能な病により命を落としているといいます。

幼い命を救うためには、国の健康医療に対する投資拡大による医療制度の改善が急務ですが、いかにして「政府やメディアにこの想いを届けることができるのか」。ユニセフ・パラグアイのアイディアは、子供と密接にリンクする“おもちゃ屋”を利用することでした。

ユニセフ・パラグアイは、2014年7月18日、通常は子供たちの笑顔で溢れているおもちゃ屋を一斉にクローズさせ、各店舗のショーウインドーに『赤ちゃんの誕生は人生を変えます。赤ちゃんの死亡も人生を変えます。』とのメッセージを掲げると共に、黒い洋服を着て喪に服しているおもちゃをディスプレイし、幼くして命を落とした子供たちに祈りを捧げたのです。

この取り組みは瞬く間にメディアの関心を集め、テレビやラジオで繰り返し報道された他、政府に対して対策を求める声が、各種新聞の紙面を埋め尽くしました。

大きなうねりとなった国民の想いは、遂には大統領に届き、国民の健康に係る取組みに150万ドルの追加予算を割り当てるとの決定が下されました。

これにより、小児科医、婦人科医、医療技術に対する投資が行われ、国内の医療制度が大幅に改善しているといいます。

何より重要な成果は、この取り組み後、新生児の死亡率が50%も減少したことであり、これは1年間で730もの命を救うことができたということを意味しています。

おもちゃが子供たちのために喪に服するというアイディアで、政府当局を動かすことに成功したユニセフのロビイングでした。

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