新バージョンのTVCMも開始 300万ユーザー突破「Antenna」が積極的にオールドメディアを活用する理由

Case: グライダーアソシエイツ「Antenna」

話題になった(=「バズった」)日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

昨年「App Store 2013 年ベストアプリ」を受賞し、今年4月に300万ユーザーを突破したキュレーションマガジン「Antenna」。これまでのFMラジオ番組のスポンサード、ムック本の出版に続き、5月からは初のTVCMを開始。6月11日からは第3弾となるTVCM「確かめるオンナ」篇のオンエアがスタートしました。積極的にオールドメディアを活用している狙いについて、株式会社グライダーアソシエイツ Antenna事業本部 企画開発室 ネットプロモーション担当 石田宗隆さんと経営管理本部 マーケティング室 神谷夏子さんにお話を伺いました。

Interview & Text : 市來 孝人
初期からラジオを活用。今も商談の場で「ラジオで知った」と言って頂くことが多い

—まずはサービス自体の特徴についてお聞かせ下さい。

Antennaは、音楽でAppleがiTunesでアルバムという概念を壊して自分の好きな曲だけをキュレーション出来るという概念を作ったように、雑誌(記事)でも同じようなことが出来ないかというのが元々の発想です。CEOの杉本(哲哉氏)やCOOの町野(健氏)は雑誌を読むのが好きな一方、沢山の記事が斜め読み出来ないことに課題意識があり、デジタル化によってそれが出来るようになったら面白いのではないかと。

—元々「雑誌」志向なのですね。

そうですね。人による「キュレーション」と「雑誌」を融合し、「キュレーションマガジン」という概念を掲げ、ローンチした2012年の段階でまず47媒体に提携を呼びかけました。当時はまずローンチパーティーを開き、記者会見を行うといったPRをしていました。

—ローンチ後のプロモーションはどのように行っていましたか。

2012年末頃はユーザーが20万ほどで、この頃はプロモーションについてはそこまで予算をかけず、サービス改善に力を入れていました。一方、ラジオでの展開(番組スポンサード)は立ち上げからずっと行っていました。

ラジオを選んだ理由としては、ラジオには画像がないので、画像で情報を得られるAntennaと相性が良いと考えたためです。特にFMラジオはメディア様や、情報感度の高い方が聴いているから、という狙いもありました。実際に商談の場でも相手先の会社のキーマンの方などから「ラジオで知った」と言って頂くことが今も多いです。2013年からはアドネットワークやリワード広告など一般的なオンラインでのプロモーションも本格始動し、昨年末に一気に300万ダウンロードを狙えるところまでユーザー数が増加しました。

ムック本で実際のユーザーから具体的な使い方を提案。営業ツールとしても活用

—そこから徐々にムック本の出版やTVCMなどに展開されていますね。

これまでWEB中心のプロモーションを行ってきましたが、ユーザー数が一定数増えた後は違うフェーズにプロモーションを変えて行かなければいけないという話をしていました。今年に入って300万ユーザーという数になる頃、マスで認知を高めて口コミで自然と広げて行こうという狙いがありました。

その際に気をつけたのは、「キュレーションマガジン」という新しい概念をどう分かりやすく伝えていくか?ということです。ムック本では実際のユーザーから具体的な使い方を提案してもらったり、CMではローラさん演じる普通の女性がAntennaを使うことで自分の生活がどう変わるのか?ということを具体的に伝えることで、自然な形で理解していただけたらという狙いがあります。

—まず、ムック本の反響はいかがでしたでしょうか。

インタビューしたユーザーさんからはとても喜んで頂きました。私たちも実際に使っている方の感想をお聞きする機会はなかなかないので、ユーザーさんの生活の変化を想像以上に実感することが出来ました。また、広告主様やメディア様には「Antennaのユーザーにはこういうコンテンツを配信したら良い」というイメージがしやすくなるという、営業ツールとしての側面でも役に立っています。

私たちから発信するもの=ムック本や販促ツールなどのすべてのクリエイティブには、サービスの世界観を表現することがとても大切だと考えています。どのクリエイティブについても「これってAntennaらしいかな」という点は社内でよく議論しますね。

「Antenna」の世界観やユーザーの等身大の生活を表現したTVCM。「ゲスの極み乙女。」CMソング起用も話題に


—続いて、TVCMについてお聞かせ下さい。ローラさんを起用された理由はどのようなものでしょうか。

これまで男性ユーザーの比率が若干女性よりも高かったのですが、特にF1層向けにプロモーションすることで、ユーザーの男女比率を半々くらいにしていこうと考えていました。そこでターゲット層に支持を得ているローラさんを起用しました。

—CMには設定があるそうですね。

見ていて「自分に近い」と思ってもらいたかったので、タクシーのシーンは日常の働いているひとコマ、もう一つは付き合って2年目のカップルのひとコマと、出来るだけターゲットに近い等身大の役を演じてもらいました。実は色々と細かい設定もしていて、家の部屋のシーンは金曜の夜、学生時代から付き合っている同棲中のカップル。彼がゲームに夢中になっている間、ローラさん演じる彼女はAntennaの記事を見ながら、土日どこに行くか考えている…そんな設定です。ローラさんご本人も元々Antennaを使って頂いていたそうで、すごく楽しく演じて頂けたようです。

—ユーザーさんからの反応はありましたか。

CMソングには「ゲスの極み乙女。」というバンドの「パラレルスペック」という曲を起用したのですが、Twitter上でファンの方々が盛り上がったんですね。ずっと応援している方からすると、「いきなりCMに出る、しかもローラさんのCM、これはすごい!」と。この起用にセンスを感じるとか、ポジティブな反応が多かったですね。ちょうどメジャーデビューするバンドということで我々のステージにも一致しましたし、新しいものが好き、こだわりがあるといった点で双方のファン層との親和性も高かったのだと思います。

—今後のプロモーションの展開としてはいかがでしょうか。

ライフスタイルにどれだけ入り込んで行けるか、という点を大事にしたいですね。例えば仮にスマホに接触している時間を4時間だとすると、他の20時間はオンライン以外の方法でしかリーチできない時間になります。たとえば家の中でなにもせずゆっくりしている時間もあるわけです。その中でどれだけAntennaを使ってもらえるか?という視点で勝負していきたいと思います。

どの年代のユーザーの方でも「つい起動してしまう」ような、生活が豊かになる情報を「発見」する場、眺めるだけで毎日がちょっと楽しくなる情報が入って来る場にしたいと思っていますね。

【Interviewee】

株式会社グライダーアソシエイツ
Antenna事業本部 企画開発室 ネットプロモーション担当
石田 宗隆さん(左)
経営管理本部 マーケティング室
神谷 夏子さん(右)

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