離れた場所からでもサポーターの声援を選手に届けられるアプリ “The 12th Man”
Case:The 12th Man
2010年末から11年にかけて、北アフリカおよび中東のアラブ諸国で広がった一連の反政府運動「アラブの春」。アフリカ大陸北部に位置するチュニジアもその影響を大きく受けた国の一つですが、それから2年が経過した今もなお、国内は緊張状態にあります。
政府は混乱を避けるために、人々が公の場所に集うことを規制しましたが、それはスポーツ界も例外ではありませんでした。プロサッカーリーグの試合で、観客はスタジアムで観戦することを禁止されてしまったのです。
サッカーでは「サポーターは12番目の選手」と言われるほど大切な存在です。
このような中にあって、一部リーグの残留争いにむけて大きな試合を控えていたクラブチーム「CS Hammam-Lif」では、スタジアムに行くことができないサポーターの熱い声援を選手に届けることを可能にする“The 12th Man(12番目の選手)”というアプリを開発しました。
スマートフォンにアプリをダウンロードすると、携帯画面に「ゴール」「拍手」などのアイコンが表示されます。
このアイコンをタッチすると、観客席付近に設置された巨大な40台ものスピーカーから「ゴールを決めた時の歓喜の叫び」、「選手を勇気づけるための手拍子」などがスタジアムに響き渡ります。
つまり、サポーターはテレビ観戦をしながら、携帯電話を通じてあたかも試合会場にいるように選手に声援を送ることができるという仕組みです。
観客は誰ひとりいないという異様な雰囲気に包まれたスタジアムでしたが、このシステムによって選手たちは9万3100人ものサポーターの熱い想いを近くに感じ、1-0で劇的な勝利を収めたのです。
逆境を乗り越え、たとえ離れていても人々の心を通わせることができる“スポーツの力”を改めて感じさせられるとともに、それを現代のテクノロジーの力を使って結実させた素晴らしい試みです。
動画はコチラ
参考サイト
Creative Criminals
http://creativecriminals.com/ambient/cs-hammam-lif-12th-man/
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