「私はHIV感染者です。触ってください。」と広場に立つ男性。人々の反応やいかに…。
「私はHIV感染者です。」まず、傍にいる人がこう告白したらあなたはどう思いますか?きっと“HIV”という病名に、何も感じない人はいないと思います。ただ、それは時に偏見だったり誤解だったり、感染者を知らず知らずのうちに傷つけてしまっているかもしれません。
フィンランド人のJanne AntinさんはHIV感染者です。彼もまた、日常的に周囲からの偏見的な視線を感じているのでしょうか、ある日思い切った行動に出たのです。それは感染者である自らが『大切な何か』を伝えようとする、とても勇気あるアクションに見えました。
「私はHIV感染者です。触ってください。」
場所はフィンランド、ヘルシンキの広場。HIV感染者のJanne Antinさんは、「私はHIV感染者です。触ってください。」と、まずはフィンランド語と英語でボードを用意します。
広場に立ち、両手を広げる
そして傍らにボードを置き、両手を開き目を閉じて立ちました。行き交う人々は、どんな反応を示すのでしょうか。
近づけない人々…
やはり初めは皆、遠巻きに見ています。そして、彼に近づくことが出来ません。目を閉じていて正解、と思わせるような人々の反応。
すると、1人の女性が…
ギュッと彼の手を握りました。初めての温もりです。長らく待った末に、それはどんなに温かかったことでしょう。「Kiitos(ありがとう)」と、彼も彼女の手をそっと握り返します。
“タッチ”する人が次々と
するとどうでしょう。良い行動が良い行動を引き起こすかのように、温もりは連鎖していきました。少し躊躇していた女性も、やはり戻ってきて“タッチ”。
お母さんが子どもに伝える
そしてお母さんも、子どもに何やらお話した後に彼に触れに行きます。「ね、大丈夫。何でもないの。」そんな会話が聞こえてくるようです。そして深く頷くJanne。「大丈夫なんだよ。」と、子ども達に安心感を与えるかのように。
ハグする人々まで!
欧米文化の温かなコミュニケーションと言えばハグ。触れるだけのタッチとは違い、そこにはもっと気持ちが込められ、思いも伝わります。そんな温かなハグをする人がどんどん現われました。
人々に伝わった、受け入れられた喜び
感極まるJanne。彼の勇気ある行動は、きっと多くの人々の意識に変化を与えたはずです。そして、彼自身もこんなにもたくさんの人々に受け入れられたことに、大きな喜びを感じている様子。
フィンランド国営放送が運営するクロスメディア、“Kioski”による映像でした。
世界に約3,400万人の感染者がいると言われているHIV感染者。涙、汗、尿、唾液からもHIVは検出されますが、感染するのに十分な濃度のHIVが含まれるのは、血液、精液、膣分泌液、母乳だけなのです。ドアノブや、プールやお風呂、トイレの便座、コップやフォーク、水飲み場の蛇口を介してHIVに感染することはありません。また、エイズ患者と食事を分けあったり、握手やハグをしても、全く危険はありません。
Janneのこの勇気ある行動は、私たちの偏見を取り払い、正しい知識をつけるきっかけになってくれたようです。
(参考サイト:YouTube)
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