名前ではなく“悪口”を刻む!? イギリス文化を活かした缶ビール施策

街中のビルボードに掲示されたのは、ビールブランドのロゴではなく、思わず二度見してしまうような“モザイクのかかった暴言”でした。

イギリスのビールブランドFoster’s(フォスターズ)による「Love You Cans」キャンペーンは、友情表現の文化的特徴をそのままブランド体験へ転換したマーケティング事例です。

背景にあるのは、英国男性特有の“British Banter”と呼ばれるコミュニケーション文化です。調査によると、英国男性の61%が、疎遠になった友人に連絡を取ることに気まずさを感じると回答。一方で59%は、名前で呼びかけるよりも、軽い悪口やからかいの表現のほうが友情を示せると感じているといいます。

つまり本音では再会したい。でも素直に「元気?」とは言えない。その代わりに、少し乱暴なニックネームで距離を縮めるーーそこには英国らしい照れ隠しの愛情表現があります。

キャンペーンでは、友人に贈るためのビール缶にあえて“暴言”を入れられる仕組みを提供。街頭広告では、そのワードがぼかされた状態で掲示され、見る人に想像させる設計になっています。一見すると挑発的ですが、「Love You」というキャンペーン名が示す通り、これは友情の裏返しです。

秀逸なのは、コピー遊びで終わらせていない点です。ニックネーム入りの缶を贈る、一緒に飲むという行動自体が、疎遠になった関係を再起動するきっかけになるでしょう。無料ビールやキャンペーン特典も組み合わせ、「贈る」「会う」「飲む」という具体的なアクションへの導線まで設計されています。

近年、名前入り缶などパーソナライズ施策は珍しくありません。しかし本作が一歩踏み込んでいるのは、英国男性の友情に宿る照れや気まずさをブランドが理解している点です。その共感が、施策全体の説得力を生んでいます。

ブランドは商品を売るだけでなく、人と人の関係性を媒介する存在にもなり得ます。今回の施策は、ギフト体験を再設計した好例といえるでしょう。

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