ケーキ箱を開けるときの“高揚感”に着目 宝島社がコンビニ限定商品を箱型にした理由とは

宝島社はファッション雑誌販売部数トップシェア(※)を誇る出版社として、読者が「手に取る瞬間に感じる体験」に注目したパッケージ戦略を打ち出しました。

2025年9月19日(金)に発売された『Maison de FLEUR Ribbon BOOK』は、ケーキ箱を思わせる手提げ型の箱を採用し、開封前からワクワク感を演出しています。

近年、SNSでは「開封動画」が人気。中身が見えるパッケージは便利ですが、開ける楽しみを損なう面もありました。宝島社はそこに着目し、商品そのものだけでなく開ける体験にも価値を持たせる試みです。

※日本ABC協会 雑誌発行社レポート2024下半期(7~12月)より

コンビニ売場に合わせた進化の歴史

宝島社のコンビニ限定商品のパッケージは、販売環境に合わせて変化してきました。2018年には書店向けのB5サイズ箱型から、コンビニの棚に適した縦型ボックスへ移行し、さらに透明パッケージを導入。中身を一目で確認できる仕様は利便性を高めましたが、時代の流れとともに消費者の期待は「開ける楽しみ」へ移り、2025年には再び箱型に回帰しました。

利便性重視から体験重視へという転換は、売場戦略だけでなく、消費者心理の変化を映し出しています。


ブランド体験を高める仕掛け

新パッケージはMaison de FLEURの世界観を反映し、淡いピンクを基調にした華やかな手提げ型。持ち歩きたくなるデザインは、購入後の移動やSNSでの共有シーンにも映えます。

3つの商品は、それぞれリボンをモチーフにしたデザインで統一。パッケージと商品が一体となり、ブランドの魅力をより強く印象づけられそうです。

今回の事例は、パッケージが単なる容器ではなくブランド体験を広げる存在であることを示します。開封前から期待感を高め、思わずSNSに投稿したくなる仕掛けが自然な拡散を生み出しそうです。さらに、見た目のインパクトは購買意欲を刺激し、持ち歩く姿自体が広告となる可能性もあるでしょう。

パッケージを超えた体験設計へ

ケーキ箱を開ける瞬間の高揚感を日常の買い物に取り入れ、非日常の楽しさを提供する。そこには、SNS時代の消費行動を捉えた発想と、売場での注目から購入後の拡散までを見据えた戦略が込められていそうです。

コンビニという日常の場で、開封体験をエンターテインメント化したこの施策は、今後のパッケージ戦略を考える上で示唆に富む事例といえるのではないでしょうか。

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