駅広告の最新事例10選 アイデアが光る施策まとめ|2025年

日々たくさんの人びとが行き交う駅は、絶好の情報発信の場でもあり、交通広告媒体も多種多様です。

駅看板、駅貼りポスター、デジタルサイネージ、横断幕、フラッグ、フロア広告など豊富な駅広告の事例のなかから、直近の10事例をまとめてお届けします。

1. 駅構内がアーティスティックな特別空間に。古川琴音 写真集の先行カットポスター

講談社は、7月3日(木)に発売された古川琴音写真集『CHIPIE』発売を記念し、2025年6月30日(月)から7月6日(日)までの期間限定で都内3か所で写真集先行カットによる大型ポスターを掲出しました。

紙で出版される写真集の質感や作品性を重視して、未公開先行カットをポスター掲出するという今回の施策。写真家・松岡一哲の繊細かつ詩的な視点で切り撮られたカットの数々は、それぞれの掲出エリアの特徴に合わせた変化もありつつ、写真集が追求した古川琴音さんの持つアーティスティックな世界観を体験できる空間を生み出しています。

ポスターは写真集の発売情報告知も控えめで、作品の世界観を壊さないシンプルなものに。まずは写真の持つパワーに魅了され、じっくり眺めると写真集の発売情報に辿り着くという体験は、記憶の定着を促す施策と言えるかもしれません。

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2. 駅名標が語る企業のルーツ JR西日本とアース製薬の地域連携広告

JR西日本とアース製薬株式会社は兵庫県赤穂市の播州赤穂駅と坂越駅にて、駅名標を活用した広告掲出を実施。播州赤穂駅には「忠臣蔵のふるさと アース製薬 発祥の地」、坂越駅には「北前船寄港地 アース製薬 坂越工場前」と掲示され、地域の歴史と企業のルーツが一つの駅名標の中に織り込まれています。

今回の施策は、交通インフラである駅名標を「情報を届ける場」として活用するもの。播州赤穂駅の「発祥の地」、坂越駅の「工場前」といった表記からは、アース製薬が赤穂市にルーツを持ち、現在も坂越に主要工場を構えていることが読み取れます。通勤や観光で駅を訪れる人々にとって、普段目にしている駅名標にこうした情報が加わることで、企業と地域のつながりを自然と意識させられる構成です。

また、「忠臣蔵のふるさと」「北前船寄港地」といった地域の歴史的背景も添えられており、企業広告でありながらも観光的・文化的な要素が盛り込まれている点が特徴的です。こうした取り組みは、地域の魅力を再認識するきっかけにもなるでしょう。

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3. 春日部つながりで『クレヨンしんちゃん』広告を8駅に掲出! 笑顔もたらす正和工業の施策

埼玉県春日部市に本社を置く総合リノベーション企業・正和工業株式会社は、「社会を笑顔で満たす」という経営理念の実現を目指し、2021年より創業地・春日部を舞台にした『クレヨンしんちゃん』とのPRパートナー契約を締結しています。2025年6月1日(日)からは、コラボレーション交通広告を埼玉県春日部市内の東武鉄道8駅9か所にて一斉に掲出しました。

東武スカイツリーライン4駅(春日部駅東口・西口、武里駅、一ノ割駅、北春日部駅)および東武アーバンパークライン4駅(南桜井駅、藤の牛島駅、八木崎駅、豊春駅)それぞれに掲出された広告には、キャラクターが1人ずつ登場。街歩きを楽しみながら、各駅の広告で大きく書かれている文字をつなげていくと、同社のビジョンと重なるメッセージが誕生するという街をまるごと使った仕掛けです。

また、6月11日(水)から7月11日(金)まで、公式Xにてプレゼントキャンペーンも実施。リアルとデジタルの両面で、春日部発のコラボレーションを盛り上げました。

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4. 創刊100周年を記念して『小学一年生』が“本の街”神保町駅をジャック!

「ピッカピカの一年生♪」……小学生向け学習雑誌『小学一年生』(小学館)のCMソング/サウンドロゴだということを知らなくとも、メロディが浮かぶ人は少なくないはず。

新小学1年生が入学準備を始める3月を目前にした2025年2月21日(金)から、このサウンドロゴが都営三田線神保町駅のホームで発着メロディに採用されていることはご存じでしょうか。

これは、『小学一年生』の100年間を振り返る株式会社小学館の広告施策の一部で、都営地下鉄が初めて取り組んだという「駅メロディ広告」。同誌編集部や小学館本社所在地である東京都千代田区一ツ橋の最寄り駅、神保町では『小学一年生』創刊100周年を祝う、さまざまなプロモーションを展開しています。この時期、神保町駅では「駅メロディ広告」に加えて、駅構内のホームドアに雑誌『小学一年生』の100年間を振り返るステッカー広告を掲出しました。

さらに、5月30日(金)発売の『小学一年生』7月号では、神保町駅をモデルに、新型の地下鉄車両「都営三田線6500形」を再現したという「えきメロちかてつキット」が付録になるなど、立体的な取り組みが行われています。

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5. 駅の柱に「柱」が集結! 早稲田アカデミー×鬼滅の刃のコラボ広告

小学生・中学生・高校生が対象の進学塾を運営する株式会社早稲田アカデミーが、アニメ『鬼滅の刃』とコラボレーションした夏期講習会の広告展開を開始しました。

今回の広告は、志望校合格を目指して日々努力を続ける子どもたちへエールを送ることを目的に制作されました。「強き者になる。」をメッセージに掲げ、受験を控えた生徒たちが直面する「難題」「弱点」「重圧」「緊張」といった壁を、『鬼滅の刃』の鬼殺隊の隊士たちが力強く断ち斬るビジュアルで表現しています。

広告は全15パターンあり、2025年5月12日(月)から6月30日(月)まで、首都圏の交通広告として掲出されました。

さらに、特定の駅では5月12日(月)から5月18日(日)まで、駅の「柱」に広告を掲出。鬼殺隊の中でも最も位の高い9人の剣士「柱」が勢ぞろいした、迫力あるビジュアルとなりました。

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6. 「しぶやであう」niko and …が駅ジャック! 待ち合わせスポットでOOH掲出

アパレルからインテリアまで幅広く展開するファッションブランド「niko and …(ニコアンド)」による、大規模なOOH広告です。

2025年5月12日(月)からは、京王井の頭線渋谷駅をジャック。改札内外に設置されたデジタルサイネージや、中央改札口から渋谷の街をつなぐエスカレーターで広告を掲出しました。

渋谷駅での施策では、「しぶやであう」「まーくしてぃまえであう」などをコピーに採用。このキャンペーンは、全国各地で4月28日(月)から順次掲出展開しているため、掲出場所にあわせて「しんじゅくであう」(東京・新宿)「うめはんまえであう」(大阪・梅田)「だいがめんまえであう」(福岡・天神)など地名、ご当地の待ち合わせ場所を取り入れているそうです。

この企画は、同ブランドがタグラインに掲げている「であうにあう」から派生したもの。今春から「出会い」と聞いたら真っ先に思い浮かぶブランドイメージを定着させることに取り組んでいるといい、中長期を見越した施策を実施しているそうです。

「#であうにあう」「#nikoand」のハッシュタグを用いて、Xに各地で展開するOOHを撮影、投稿すると、抽選で「旅にあう雑貨 詰め合わせ」があたるというキャンペーンで、認知を高める施策を実施しています。

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7. 講談社漫画17作品が登場! 訪日客に向けて東海道新幹線の駅でマナー広告を展開

講談社は、2025年4月24日(木)より6月30日(月)までの約2ヵ月間、世界で大人気の漫画17作品のキャラクターによる広告“MANGA MANNERS”を展開しました。掲出場所は、JR東海の東京駅・品川駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅。

ニッポン文化を、「マンガでマナーぼう!“MANGA MANNERS”」とは、日常生活やレストラン、公共交通機関で役立つ、日本を快適に旅するためのマナーを、海外でも有名な漫画のカットに添えることで楽しく理解できるようにした広告です。

この“MANGA MANNERS”は、2024年10月、成田空港第2ターミナルの入国審査場前に巨大ウェルカムウォールとして掲出されたもの。そこでの好評を受け、引き続き大阪・関西万博の開催に伴い、多くの方の利用が見込まれる東海道新幹線駅での展開が決まったそう。

今回は東海道新幹線の利用時に活用できるマナー6種類が新登場し、成田空港からの継続となるマナーも合わせて計17マナーを発信しました。

さらに、2025年4月24日(木)以降は、JR東海の東京駅・品川駅・京都駅・新大阪駅を利用した訪日客の方を対象に、今回の17マナーを1冊にまとめたリーフレットを配布。帰国後も、“MANGA MANNERS”を通して日本文化を楽しく思い出してほしいという趣旨の試みとなっています。

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8. 郵便ポストの視点から日本各地の景色を堪能。日本郵政、新宿駅にて大型広告展開

日本郵政株式会社は2024年12月30日(月)から2025年1月5日(日)まで、東京・新宿駅メトロプロムナードにて「#郵便ポストが見ている世界」と題した大型広告を掲出。全国に設置された173,935本(2024年3月31日時点)の郵便ポストたちが、投函口から見ている日本各地の景色を紹介するユニークな試みです。

全国に点在する郵便ポストは手紙や荷物を届けるという役割だけでなく、美しい自然や歴史的な街並み、人々の営みを静かに見守る存在。今回の広告では「もしも郵便ポストが目の前の景色を見ていたら?」という発想をもとに、投函口から覗いた景色を映像で表現しています。

映し出される画は多彩で、沖縄の原風景では牛車がのんびりと海辺を進む様子が描かれ、猫島では穏やかに暮らす猫と住民の日常も。また、約400年の歴史を持つ茅葺き屋根の町並みや、緑豊かな山間を走る鉄道の風景も登場します。これらの映像はポストが地域の暮らしや文化に、いかに浸透しているかを感じさせるとともに、観る人の想像を広げてくれます。

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9. 東武日光駅に高さ180cmのチョコレートオブジェ登場! 日光市の新プロジェクトとは

栃木県日光市では地域の魅力を再発見し、新たな光を当てるブランディングプロジェクト「NEW DAY, NEW LIGHT. 日光」を推進中。その一環として「和魂洋才」という日光ならではの歴史と文化を発信する手段に「チョコレート」に着目し、市内の経済活性化と観光誘客促進を目的とした「CHOCOTTO NIKKO(ちょこっと日光)」を展開しています。

日光は江戸時代の歴史的建造物が残る「和」の文化と、明治時代以降に外国人が避暑地として愛した「洋」の文化が融合した土地。とくに中禅寺湖畔は明治時代から昭和初期にかけて外国人外交官が別荘を構え、チョコレートを嗜みながら過ごした国際的な避暑地として栄えました。

こうした歴史を踏まえ「CHOCOTTO NIKKO」は和魂洋才の精神を「チョコレート」という象徴的なアイテムを通じて発信するブランディング戦略を採用。日光が持つ伝統的な魅力を損なうことなく現代の観光トレンドと組み合わせることで、新たな視点からのアプローチを実現しました。

「歴史的観光地」という従来のイメージに加え、「モダンな和洋融合の街」としての新たなブランド価値を創出しようとしています。

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10. はなまるが創業25周年、地元・香川に貢献! 1号店の最寄り駅を「はなまるうどん駅」に

はなまるうどんを運営する株式会社はなまるは、創業25年目を機に、讃岐うどん文化の伝統を守りつつ、新たな革新に挑む「おいでまい!さぬきプロジェクト」を2025年1月より始動しました。これまで以上に創業の地・香川とともに歩んでいきたいという想いのもと、活動を展開しています。

その一環として、2025年2月25日(火)より、高松琴平電気鉄道株式会社が運営することでん長尾線林道駅の副駅名を「はなまるうどん駅」と定めました。さらに、1号店限定で、創業時の人気メニューを復刻販売しました。

2000年に香川県高松市で創業したはなまるうどん。地元・香川とともに讃岐うどんの魅力を発信していきたいという想いから、2025年1月に本社を東京都中央区から香川県高松市に戻し、原点回帰を果たしました。プロジェクト名の「おいでまい」は讃岐弁で「いらっしゃい」という意味を持ち、「讃岐うどんを食べたい」「讃岐うどんを食べに香川へ行きたい」と全国の消費者に思ってもらいたいという想いが込められています。

高松琴平電気鉄道のことでん長尾線は、香川県高松市の瓦町駅と香川県さぬき市の長尾駅を結ぶ鉄道路線。今回のコラボにより、2月25日(火)から約1年間、はなまる発祥の地である創業店舗「はなまるうどん」木太店の最寄り駅「ことでん長尾線林道駅」の副駅名を「はなまるうどん駅」としました。

これを記念して、ことでん長尾線1300系の車両の中に1車両のみ、11.1%の確率で出会える電車を新たに運行。先頭部、最後尾には「幸運のはなまるうどん号」のオリジナルヘッドマークをつけて走ったそうです。

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駅広告の最新事例10選まとめ

どの駅への掲出をするかなど、内容だけでなく企画段階での綿密な練り込みを感じさせてくれる事例がたくさん集まりました。

不特定多数が目にする交通広告は掲出にあたっては厳格なルールもありますが、それだけに多くの耳目を集めることができれば大きな効果が得られる定番の広告施策です。日々たくさんの情報が流入してくる現代において、いかにして注目してもらえる工夫が凝らせるか、さまざまなアイデアとクリエイティブが楽しめる場ともなっています。

その他の事例集についてはこちら
https://predge.jp/search/post?othres=6806
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