階段を登ると“尊い”、降りると“親しみやすい”?検証で見えた階段と広告の関係性

テント構造物や土木・物流資材を手がける太陽工業と、東京メトログループの広告会社メトロアドエージェンシーは、東京国際大学との産学連携による共同研究を実施し、掲載場所ごとにふさわしい広告内容を検証しました。

2022年9月より開始したこの産学共同研究は、地下鉄利用者の無意識の感覚へ効果的に働きかける広告を検討するなかで、階段の昇り降りがもたらす影響について着目したものです。

東京国際大学商学部ゼミ生が行った予備調査では、階段を昇るとポジティブな「尊い」概念が活性化し、ブランドイメージを高める広告が効果的との結果になりました。一方、階段を昇る際に生じるネガティブな「疲れた」「重い」という感覚も広告に影響することが判明。「利便性」などの訴求も相性がいいとされています。

また、反対に階段を降りると「近い」「落ち着き」の感覚が強まるため、親しみや安心感があるような表現が効果的とのこと。帰属意識を高める広告が有効になるようです。

予備調査の結果を受け、2023年11月、太陽工業は東京メトロ早稲田駅に広告を掲出。グローバルな実績写真を活用した「ブランドイメージ」、仕事風景や社員の写真を活用した「帰属意識や親しみを促す」の2種類を、それぞれ早稲田駅の階段踊り場に掲出し、駅利用者108人を対象にアンケート調査を行いました。

アンケートの結果、予備調査と同様に階段を昇った人には企業のブランドイメージを訴求した場合の方が、階段を降りた人には帰属意識や親しみを訴求した方が広告評価が高くなり、広告主への評価も高まる傾向にあったといいます。

移動シーンの広告は、特に意識せずとも目に入ってくるもの。中でも地下鉄は階段の昇り降りが多いため、運動感覚や心理に基づいた広告を掲出することで、より消費者の共感を得られ、記憶にも残るものになるのではないでしょうか。広告の掲出位置や内容を考えるうえで参考になりそうな調査結果です。

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