「身近にある人身売買」に警鐘を鳴らす、カナダ公安省による啓発動画
「人身売買」と聞くと、貧困国に住む人たちが、犯罪組織によって拉致される、または、貧しさのあまり家族に売られた女性や子どもたちが強制労働、性的搾取、臓器摘出などの非人道的な行為を強要される、などといったイメージを抱く人が多いかもしれません。
しかし、実際には、人身売買は貧困国だけではなく先進国でも行われており、その内容も「金銭と引き換えに人を売り買いする」ということだけを意味するものではありません。
カナダ公安省(カナダ政府内で、国民の保護および平和・公共安全の維持に関する業務を司る省庁)は、国内で実際に起きている事例をもとに、「身近にある人身売買」について人びとに周知し、注意喚起を促すための動画広告を公開しました。
動画に登場するのは、幸せそうに寄り添うカップル。
しかし時が経つにつれ、男性に変化が現れます。恋人に暴言を浴びせ、暴力を振るっては、その後一転して優しくなるというDV=ドメスティック・バイオレンスが続くように。
その後男性の支配的な行為はさらにエスカレートし、ついには自分の恋人に売春を強要するようになったのです。
動画の最後には、「カナダ国内で起きている人身売買の被害者のおよそ1/3が、現在または過去の配偶者や恋人に強制されたことによるものです」というメッセージが流れます。
被害者を強制的に服従させ、売春や強制労働などに従事させる人身売買。カナダ公安省は、このような犯罪が身近な場所で起きている可能性を指摘し、もしも自分や周囲の人がそのような環境に置かれている場合はすぐに通報するよう呼び掛けています。
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