集会の代わりに「一斉インスタ配信デモ」。ウルグアイ・失踪者家族会の事例
Case: Alive in our memory
コロナ禍の南米・ウルグアイで、「Instagramのライブ配信機能を使用して参加するデモ」が行われました。
1973年から1985年にかけて独裁政権下にあったウルグアイ。この政権下では197人にのぼる市民が拘留され、行方不明となりました。
最愛の人々を探すため、そして真相の解明を訴えるため、同国では1995年から毎年、5月20日に行方不明者家族らの組織・Madres y Familiares de Uruguayos Detenidos Desaparecidos(失踪家族の会)による「沈黙の行進」が行われてきました。
しかしこの行進も、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響によって断念せざるを得なくなりました。
通りを埋め尽くすデモ行進の代わりに人々がとったのが、「一斉Instagramライブ配信デモ」。
参加者は会場へ足を運ぶ代わりに、デモの時間にあわせて自身のInstagramのアカウントから一斉にライブ配信を行い、それぞれの場所からデモに“参加”したのです。
2020年5月20日。毎年とは打って変わり、静まり返った都心の大通り。
しかし、人々がそこからいなくなったわけではありませんでした。デモの開始時刻とともに、ひとり、またひとりとライブ配信がスタートしたのです。
写真をアップして、メッセージを伝える人。
行方不明となった家族に思いを馳せ、自室から窓の外へ向かってメッセージを叫ぶ人。
いまこれを見ているかもしれない、最愛の相手にありったけの気持ちを伝える人。
Instagramという場を通じ、人々は今年も行進を行ったのです。
この施策は80万以上のリーチを獲得し、行方不明者に関する5万件以上のプロフィール写真がアップされました。
さらにこのキャンペーンに関する言及数は10万件以上にも及び、ウルグアイ国内のトレンドトピックに。さまざまなメッセージが飛び交いました。
たとえ手段が変わろうと、発する思いと追い求める正義は一緒。未曾有の事態をも逆手に取り、最新のSNSという仕組みの利便性を駆使することで参加者一人一人の思いをつなぎ続ける、感動的な施策でした。
(via Ads of the World)
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