カルビー アプリからパッケージまで多角的に取り組む“環境に優しいブランド”作りとは?

Case:カルビー「カルビー ルビープログラム」&パッケージリニューアル

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・PR事例の裏側を、担当者へのインタビューを通し明らかにする連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は、先月にカルビー株式会社が発表した環境に配慮した取り組みを取り上げます。

まず発表したのは「折りパケ」運動と「カルビー ルビープログラム」。「折りパケ」運動は、食べた後の空きパッケージを、小さく折りたたんで捨てることを促進する活動。小さく折りたたんで捨てることで、家庭でのごみのかさを減らし、家庭で使用するごみ袋の量の削減を目指すもの。さらに、「ルビープログラム」は専用のスマートフォンアプリを使い、折りたたんだ空きパッケージを撮影することで、商品に応じたルビー(ポイント)が獲得できるというもの。

続いて、「カルビー ポテトチップス」ブランドのパッケージを5年ぶりにリニューアル(9月下旬から順次切り替え)。37商品のデザインを一新し、そのうち12商品(レギュラーサイズ60g、58g)は、ダンボールのサイズの変更・輸送効率アップによる二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向けて、パッケージのサイズを変更しています。

画像:このパッケージのサイズ変更によってダンボールのサイズが変わり、輸送効率が改善される

これらの取り組みの意図について、カルビー株式会社 マーケティング本部 商品2部(プロジェクト担当)谷澤渓介さんにメールインタビューを実施しました。

「折りパケ」運動促進のためパッケージにも工夫

―パッケージのリニューアルと「カルビー ルビープログラム」、それぞれの施策について、実施のきっかけを教えていただけますか?

(パッケージリニューアルについて)カルビーポテトチップスは1975年に誕生し、今年2020年で45周年を迎えました。45年の間、原料、美味しさ、パッケージデザインなど、常に時代に合わせて進化させてきたことが、ロングセラーに繋がっていると考えております。

45周年を迎えるにあたり、今の時代に合わせた進化として、限りある資源を有効活用できるように考えたリニューアルを実施しました。

(「カルビー ルビープログラム」について)また、日本では84%もの人(※)が、お菓子などの空きパッケージを小さくたたんで捨てることが分かっています。ゴミを小さくたたんで捨てる行為は、家庭でのゴミのかさを削減することに繋がり、ゴミ袋の使用量を減らすことにも繋がります。
※カルビー調べ(2020年6月26日~29日、n=500)

かねてより、空きパッケージを小さくたたんで捨てることをメーカーとしても推進をしていこうと検討していた折、「パッケージを折りたたむ」ためにはパッケージの開封が必要であるため、すなわち購買証明にも繋がるのではないかというアイデアから、ポイントプログラム化してお客様にも折りたたむメリットを提供しつつカルビーのファンになっていただくという、マーケティング目的も持った施策へと昇華していきました。

また、空きパッケージを折りたたむ行為を「折りパケ」運動と名付け、上記のポテトチップスのパッケージにおいては、折りたたむためのガイド線や、折りたたむと四つ葉のクローバーになる図柄を入れるなど(一部の商品のみ)、「折りパケ」運動の推進を図っています。


―いずれも環境に関する施策ですが、やはり連動したものとして生まれたものでしょうか?

はい、連動した施策です。パッケージのリニューアルはメーカー側のアクション、「カルビー ルビープログラム」は当社主導のサービスではありますが、お客様にごみ問題を考えるきっかけとしていただくアクションです。両者が連動することで、より環境に取り組む輪を広げることが出来ると考えています。

マーケティング部門で行われている環境に関する議論

―環境への意識について、日頃社内ではどのような議論をされていますか?

カルビーグループの中期経営計画の中で、温室効果ガスの排出量の削減を目標として掲げています。当社の事業においては、製品の生産や物流の過程で、また、使用している製品の原料や包材についても、製造される段階で温室効果ガスが排出されています。

その中で、特にマーケティング部門では、担当商品について包装のサイズや形状を変更して、プラスチックや段ボールの使用量を減らせないか、輸送効率を上げられないか、あるいは、そもそもプラスチック使用量の少ない包材や植物由来の原料を使用できないか、といった議論が盛んに行われています。最終的に製造工程におけるロスなどが増えないかなど多角的な面でのメリット・デメリットを総合的に判断した上で、製品に採用させていただいております。

―先月「プラスチック資源循環の推進目標」についてのプレスリリースも出されていましたが、今後、消費者に向けて発信していくメッセージはどのようなものですか?

ジャガイモを中心として自然の恵みを活かした事業を展開している当社にとって、環境負荷の軽減は、事業と密接に結びついた課題です。

現在ほとんどの商品において、中身の品質劣化を防ぐためにバリア性の高いプラスチック包材を使用していますが、「つくる責任」として、石油から新たに作られるプラスチックの削減、環境配慮型の素材への転換を進めてまいります。

持続的成長と持続可能な社会の実現を目指し、地球・地域・社会・経済など企業を取り巻く中長期視点での環境の変化と課題を捉え、社会との共創により新たな価値を創造する「サステナブル経営」の実践により、企業価値の向上へとつなげてまいります。

―消費者からの反応はいかがですか?また、今後の展開予定を教えてください。

どちらの取組みに対しても共感のお声を多数いただいています。同時に、「カルビー ルビープログラム」は対象商品が一部に限られるため、拡大を望む声もいただいております。この「カルビー ルビープログラム」については対応商品を拡大し、できる限り多くの商品への展開を目指します。

また現在、パッケージの印刷に使用するインキの一部(黒色のみ)について、植物由来のバイオマスインキへの切替を進めているほか、アンテナショップにおける紙パックやバイオマスストローの採用等を行っております。これらを含め、上記のリリース内にもある目標の達成に向けて、順次取り組んでまいります。

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