メルカリ×ナチュラルローソン “読むレジ袋”両社による取り組みはどのように実現した?
Case:メルカリ×ナチュラルローソン「読むレジ袋」
話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・PR事例の裏側を、担当者へのインタビューを通し明らかにする連載「BEHIND THE BUZZ」。
今回は、株式会社メルカリと株式会社ローソンによる”読むレジ袋”を取り上げます。
7月1日からのレジ袋有料化を控えた6月24日~6月26日に、ナチュラルローソン138店舗で各日100枚配布されたこのレジ袋。通常は捨てられてしまうレジ袋に付加価値を与えるべく、メルカリが2020年4月から始動したプロジェクト「モノガタリ by mercari」に寄稿している伊坂幸太郎氏、吉本ばなな氏、筒井康隆氏の小説を印字。なお、環境に配慮し、バイオマスプラスチックを50%以上配合しています。
この取り組みは、これまでもSDGsを積極的に推進してきたナチュラルローソンと「モノガタリ by mercari」の取り組みの方向性が一致し実現したといいます。どのような点が合致し実現できたのか、株式会社メルカリ PRグループプロダクトPR 韓昇勲さん、株式会社ローソン 商品本部 ナチュラルローソン部 部長 鷲頭裕子さんにメールインタビューを実施しました。
―まず、今回のプロジェクトが立ち上がったきっかけを教えていただけますか?
韓:メルカリは、誰かにとって不要になったモノが他の誰かの役に立つマーケットプレイスを目指しフリマアプリ「メルカリ」を運営しています。4月28日より始動した、モノにまつわるストーリーを通じてモノの価値を伝えるプロジェクト「モノガタリ by mercari」は、SNSにて予想以上の反響を呼び、このプロジェクトをさらに展開できないかという思いがありました。
―ナチュラルローソンと「モノガタリ by mercari」の取り組みの方向性が一致した、とプレスリリースに記載されていましたが、実現にあたり、双方が共感できた点をお教えいただけますか。
韓:ナチュラルローソンさんのSDGsに関する取り組みと合致する部分があり、SDGsが注目を浴びるレジ袋有料化のタイミングで何か一緒にしようと、今回のコラボに至りました。
鷲頭:普段捨てられてしまうレジ袋に価値を与え、改めてモノの価値について考え直すきっかけにしたいという想いが一致しました。また、ナチュラルローソンではこれまでも環境に配慮した商品を販売するなど積極的に環境対策に取り組んでおり、メルカリさんの“今あるものをもう一度使う”といったリユースの視点にも共感しました。
―”読むレジ袋”制作にあたりこだわった点を教えてください。
韓:”読むレジ袋”を企画したPRデザイナーの株式会社プラチナム 濱村裕也氏の発案で、クリエイティブ面では、有料化目前で世の中の注目が集まる中何気なく捨てられているレジ袋に価値を与えその価値に目を向けさせる、という強いメッセージを直感的に視覚で伝えられるよう意識しました。
また、プロデューサー/クラフトディレクターとしてこのレジ袋のディレクションをした株式会社米の山中雄介氏により、レジ袋自体に「読む」という新しい機能を付け足すため、文庫本のようなデザインでレジ袋一面でモノガタリが読み切れるようなデザインに調整していきました。また、印刷会社にも”小説を印字”した実績が過去になかった中で、機能的にも、読みやすい大きさでありながら、こすれてもよれないように試行錯誤を重ねました。
―印字される小説はどのような形で決まっていったのでしょうか?
韓:伊坂さん、吉本さんの作品は、ナチュラルローソンさんのお客さまとの親和性を考えて決めました。筒井さんの作品に関しては、唯一メルカリ公式ツイッターでの作品公開前のタイミングであり、特別に1店舗のみ限定の100枚配布とし、お客さまにより楽しんでもらう仕組みにいたしました。
―成果や反響についてお教えいただけますか?
韓:TVでは13番組でOAとなりました。また新聞・Webサイトに多く取り上げられたことで、Twitterで”読むレジ袋”に関して6,000件以上の反響がありました。
―今回の取り組みが、ブランドにどのような良い影響・成果を与えることが期待されますでしょうか?
韓:一つの施策でブランドの成果が変わるかは判断として難しいですが、捨てられがちなレジ袋に小説という付加価値を加えることで、身のまわりのモノにも一つひとつに価値があると気づきを与え、改めてモノとの向き合い方について考え直すきっかけになることがより広がるきっかけになったら良いと思います。
鷲頭:7月からのレジ袋有料化前のタイミングで今回の取り組みを行ったことで、身近な店舗を通じて、社会問題となっているプラスチックとの向き合い方を考え直すきっかけ作りができました。さらには、ナチュラルローソンとしての環境の取り組みについての認知につながったと考えています。
※株式会社プラチナムは「AdGang」の運営会社である株式会社PR TIMESの関連会社です。
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