「みんなで覆面舞踏会をしよう」 デンマークのニュースメディアが仕掛けた人権キャンペーン

Case: Unmasking a Racist Agenda

デンマークのニュースメディア「Ekstra Bladet」が展開した人権キャンペーンをご紹介。

2018年8月1日にデンマーク議会で制定された、公共の場所でのイスラム女性のベール着用を禁ずる法案に反対し、「デンマークでいちばん長い覆面舞踏会」と題した“イベント”を開催。さまざまな場所で「覆面をして日常を過ごそう」、と呼びかけるプロジェクトです。

Unmasking a Racist Agenda from Maskebal on Vimeo.

企画の一部始終を収めた動画は、「誰も自分の信条を制限されない」という、デンマーク憲法の条文から動画は始まります。

つづいて映し出されるのは、公共の場所でのベール着用を禁止する法案を制定したデンマーク議会の映像と、「これは“社会的なアジェンダ(法案)”ではなく…“差別のアジェンダ”である」というテロップ。

このような状況へのカウンターとしてニュースメディアのEkstra Bladetは、「デンマークでいちばん長い覆面舞踏会」というイベントページをFacebookに開設し、街中でベールをまとって過ごす「仮装」をしようと呼びかけます。

あくまで「仮装である」という名目をつけることによってイスラム女性の正装であるベールを“合法的”に着用し、差別的な法案に反対しようというわけです。

この試みに、世界各国の大手メディアも注目。

ある人はベールを着用して音楽ライブに出演し…

普段どおりの日常生活をベール姿で過ごしたり。

この“イベント”には総勢20,000人が参加。広告費をいっさい払うことなく、2,200件にものぼるメディア露出を獲得しました。

デンマークに暮らす人々にとって、日々の生活を守るものである法律。
しかしそれが、イスラム女性たちの“日々の生活”を脅かしているという現実──

多くの人にとってもっとも想像しやすい「日常」を舞台とすることで、直感的に、そして大きな現実味をもって問題の大きさを伝えたキャンペーンでした。

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