福島産の稲わらで作った本。独企業が取り組む、東日本大震災復興プロジェクト『Made in Fukushima』

Made in Fukushima

2011年3月11日に発生した、東日本大震災。国内観測史上最大となるマグニチュード9.0を記録し、津波により15,000人以上が犠牲となったほか、福島第一原子力発電所の事故が起きた際には、放射性物質が大気や土壌などへ放出され、大勢の人が故郷を離れての避難生活を余儀なくされました。

そしてその後、福島産の農水産業には、地震の被害に加えて放射能汚染と風評被害という二重の問題が重くのしかかります。数年をかけて除染を完了し、万全な検査体制を整え、安全を証明しているにもかかわらず、風評被害により国内や海外からの需要が激減してしまったのです。

地震から10年近くが経ったいまも続くこの問題を、少しでも改善したい、という思いで立ち上がったのが、土壌センサーを製造販売するドイツの企業・METER Group。福島県産の米からとれる稲わらを使って紙を作り、さらにその紙で『Made in Fukushima』という本を製作しました。

この本は、METERが東京大学および認定NPO法人ふくしま再生の会と協力して立ち上げたプロジェクトで、これまでに行われた除染作業により福島県産の米は安全であることを、データとともに立証しています。

さらに人口統計・経済・生態学から環境や各種産業に至るまで、地元の人びとへのインタビューや写真を交えた情報が296ページにわたって紹介されており、福島についてさまざまな視点から知ることが出来る内容に。

福島について広く知ってもらうとともに、地元の米の売り上げを震災前の水準に戻すことを目指したこの取り組みは、世界最大級の広告賞・カンヌライオンズにノミネートされています(2020年の開催は残念ながっら中止となりました)。

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