ワコールとバービーがコラボ!SNS連動型プリントサービスやPR活動を通した話題作りの成果は

Case: ワコール『パルファージュ』30周年施策

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。今回は、女性下着メーカー、ワコールが百貨店向けブランドとして展開する「パルファージュ」と、世界一有名なファッションドール「バービー人形」のコラボレーション企画を取り上げます。

パルファージュ発売30周年を記念し、2017年3月29日~4月11日の期間限定で実施された本施策。「PARFAGEショップがBarbieとコラボレーション」と銘打つとおり、小田急百貨店新宿店(東京)、大丸梅田店(大阪)のパルファージュショップはこの期間、バービーのオトナかわいいイメージで埋め尽くされ、訪れた買い物客からは、「かわいい!」の声が絶えず聞こえてきたのだとか。さらには、店頭に設置された、SNS連動プリントサービス「PICSPOT(ピックスポット)」は、とりわけ好評を博したそうです。

本企画を「長期的なファンづくりに向けて実施しました」と話す、株式会社ワコール 広報宣伝部 ワコールブランド販売促進課 パルファージュ販促担当 宮本夕美香さんに、企画の発端や実施の効果について伺いました。

Interview & Text : 香川 妙美
パルファージュと世界観を一にするバービーのコラボレーションが実現

—まず、パルファージュは、ワコールの製品のなかでどのようなポジションなのでしょうか。

パルファージュは、20~30代のキャリア女性を対象とした百貨店向けのブランドです。大人向けのフェミニンなデザインが豊富で、下着を選ぶ楽しさなど情緒的な価値を大切にしつつ、着け心地などの機能にもこだわっています。そのため、価格はワコールの中心価格帯と比べて高めに設定していますが、自分に合うものが何かを知っていらっしゃる方や、ファッションを真剣に楽しまれる方からは高い支持をいただいています。

—今回、バービーとコラボレーションするに至った経緯を教えてください。

このたびの発売30周年を機に、パルファージュのコンセプトを『愛される、香り。』に刷新しています。今後、このコンセプトを体現しつつ、さらにはファンの方により愛されるブランドとして、今以上の成長を目指すなか、消費者の認知や興味関心をどのように獲得していくかを考えたとき、その一つの形としてバービーの存在が浮かんできました。

バービーのコンセプトである、“YOU CAN BE ANYTHING”には、「女性はなりたいものに何にだってなれる、自分の人生は自分で選択できる」というメッセージが込められています。これらを体現するバービーの世界観は、いつの時代も女性の憧れそのものであり、パルファージュが目指す、「身に着けることで女性本来の魅力を引き出す下着」「“自分を愛し、愛される”女性になれるための商品づくり」のイメージと、とても近いんですね。誰からも愛されるかわいらしさを追求している点や理想の自分を目指す女性を応援しているといった共通項もあり、コラボレーションの実施につながっていきました。

—プロモーションにあたり、店舗のテーマや展開イメージはどのように決まっていったのでしょうか。

売り場づくりにあたっては、バービーの持つ“誰からも愛されるかわいらしさ”の発信、オトナ女子の気分が盛り上がるお店をポイントにしました。
近年、インスタグラムを中心とした投稿型SNSが盛り上がっていますが、ユーザーのインサイトには、「フォトジェニックな場所で写真を撮りたい」というものがあると考えています。そういった点を踏まえ、コンセプトショップとして展開した小田急百貨店新宿店と大丸梅田店のパルファージュショップには、バービーとのコラボレーションを記念したフォトブースをつくり、お店に訪れたくなる、写真を撮りたくなる、さらにはSNSで発信したくなる売り場を目指しました。加えて、SNSでの拡散をねらい、ピックスポットを設置しました。

今回、キャンペーンのKPIとして、「来店数の増加」を設定していましたので、クーポンに頼らない来店動機づくりとして、バービーの起用とピックスポットの活用が、目標に対してどの程度寄与するのかも注視したい点になりました。

ワコール、百貨店、バービーライセンス会社、三位一体となったPR活動

—売り場づくりを行うにあたり、何かエピソードがあれば聞かせてください。

設営や商品陳列は、百貨店が閉店した後からの作業となるため、まさに時間との戦いでした。担当セールスや販売スタッフと協力して粛々と進めていったのですが、バービーを展示するときに現場がわっと沸いたことが印象的でした。このたび展示したバービーは、たくさんの種類のあるバービーのなかでも、クラシックドールと呼ばれる貴重なものばかりで、すべてバービーのライセンス会社さんからお借りしたのですが、現在流通しているバービーとは趣が異なり、一体一体が個性をまとっているんです。

展示した途端、売り場が一層華やかになり、バービーの持つ魅力の大きさをまざまざと感じさせられました。

—PR活動について聞かせてください。

今回のゴールは、パルファージュの情報に触れたお客様の興味を喚起し、店頭に足を運んでもらうことでしたので、PR活動は取材誘致を念頭に展開しました。ありがたかったのは、両百貨店の広報担当の方やバービーのライセンス会社さんが、取材誘致やオウンドメディアでの告知等、積極的に動いてくださったことです。その結果、当日は多くのメディアに取材していただき、バービーとのコラボレーションのみならず、パルファージュの商品についても多数ご紹介していただけました。

なかには、ピックスポットをフックにした記事を書いてくださるメディアもあり、さまざまな切り口で露出できたことも良い成果でした。結果、掲載は100媒体を超え、たくさんの反響に繋がった点は、うれしかったです。また今回は、インフルエンサーの方もご招待しており、ターゲットとほぼ等身大の視点から、パルファージュについてご発信いただけたこともブランド認知や来店動機の形成につながったと感じています。

ピックスポットの活用により、SNSでの発信を体験の一部に組み込めた

—今回、フォトブースとして設置された「ピックスポット」の活用法について教えてください。

まず、ピックスポットは、SNS連動型プリンターサービスと称されるものです。ファッションイベントなどで見かけることが多くなってきましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。専用機械がSNSに投稿された指定のハッシュタグの付いた写真を読み込み、ステッカーやポストカードとして、その場でプリントする仕組みです。スマホで撮影するだけで簡単に出力できるため、「思い出になる」と、ユーザーの満足度が高いようです。

当社も今回、コンセプトショップである2店舗にピックスポットを設置し、「#Barbie_PARFAGE」「#バービー_パルファージュ」のハッシュタグを付けて、ツイッターもしくはインスタグラムに投稿していただいた方には、特性フレームで印刷した写真をプレゼントしました。

ピックスポットと連動させたことで、SNSで発信することをお客様の体験の一部に組み込むことができました。SNSの投稿を見てご来店になったお客様が、ご自身も撮影され、SNSに投稿するといったスパイラルが生まれたことにより、当社もお客様の発信力をプロモーションに活用することが叶いました。ショップスタッフとの会話もかなり盛り上がったと聞いており、来店の動機づけとしては本当にうってつけでした。パルファージュの認知や商品に触れていただくきっかけにもなり、実際に商品の売り上げにもつながっています。

—キャンペーンの効果についてお聞かせください。

キャンペーンがスタートした4月以降、売上も順調に推移しており、手ごたえを感じています。売り場をお客様と商品の接点に留めるのではなく、ブランドを体験する場所として機能させたことは、当社にとって初めての施策でしたが、お客様のみならず百貨店さんやスタッフ一同も楽しみながら展開できたことは、大きな収穫となりました。

株式会社ワコール 広報宣伝部 ワコールブランド販売促進課
パルファージュ販促担当 宮本 夕美香さん

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