“駐車位置案内サイン”を“顔写真”に差し替える。市民の習慣を活かした行方不明者捜索施策
Case: Unforgettable Shots
ブラジルのサンパウロは市内だけでも実に100万台を収容する駐車スペースが確保されている巨大な車社会です。どの駐車場も大抵の場合規模が大きく、自分の車をどこに停めたのかわからなくならならないよう、多くのドライバーは駐車場内の柱等に掲示されている“駐車位置案内サイン”をスマートフォンで撮影しています。
今回は、この“駐車位置案内サイン”に着目した、ブラジルの行方不明者捜索を担う慈善団体・Projeto Caminho de Voltaのアンビエント施策をご紹介します。
広い駐車場で“自分の車をどこに停めたか”その場所を正確に覚えておくことはなかなか困難ですよね。スマートフォンが普及した今では、多くのドライバーは駐車した位置を忘れないよう、自分の車を停めた駐車スペース付近に掲示されている“駐車位置案内表示”をスマートフォンで撮影しておき、その写真を頼りに車を見つけ出しています。自分の車を見失ってしまうことほど悲惨なことはありませんから。
しかし、世の中には“自分の車”を見失ってしまう以上に悲惨なことがあるのです。それは、“自分の子”を失ってしまうこと。
サンパウロでは、毎日50人以上の子供たちが行方不明になっていると言います。
そこで、Projeto Caminho de Voltaは、多くの人が撮影する“駐車位置案内サイン”に着目し、行方不明児童捜索プロジェクトを実施しました。
Projeto Caminho de Voltaのアイディアは非常にシンプル。通常はアルファベットや数字で示されている“駐車位置案内表示”を、下記のように“行方不明児童の写真”に変更したのです。
行方不明者名の頭文字を使って不明者情報を織り込んだ“駐車位置案内サイン”は、多くの駐車場利用客がスマートフォンで撮影する対象となり、通常のものであれば、車を見つけたら即削除されてしまう一時記録用の写真も、こちらの行方不明者バージョンの写真は、そのままSNSでシェアすることに繋がり、直接の利用者にとどまらず、多くの人が行方不明者情報を目にすることになりました。
“自分の車を見つけるための1枚の写真”が、行方不明者捜索活動の一助となりうるという、秀逸なアイディアでした。市民が行う『日常の何気ない行為・習慣』を、ものの見事に行方不明者捜索プロジェクトに活かしてますね。
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