「IKEAのカタログ」に文芸価値はあるのか?著名文芸評論家によるガチ批評動画
Case: Catalogue Criticism
世界最大の家具メーカーIKEAが、スイスで、2016年版のカタログを告知するために“2016年版のカタログを文芸評論家が真剣に批評する”という動画を公開しました。
2016年版のカタログを批評するのは、著名文芸評論家のHellmuth Karasek氏。IKEAのカタログと言えば、2億2000万部の世界最大級の発行部数を誇る“書籍”ですが、当然ながら一度たりとも正式な書評を受けたことはありません。
そこで、Hellmuth Karasek氏が、文芸評論家として“真剣”に“書籍”に向き合いました。
「今回、私が批評する書は、IKEA著の“It’s the little things that matter”(大切なのは小さなこと)という書物です。」と真面目に語り始めます。
「“IKEA氏”による書籍は、登場人物よりも写真をフィーチャーしすぎている傾向があり、家具写真が掲載されている小説であると捉えた場合、本書は“ジャンク”作品である言わざると得ないでしょう。」と厳しい評価を下します。
同氏は“ジャンク”作品である理由として、「登場人物が家具に埋もれている」「登場人物はほとんどモノを言わないし、言ったとしてもその発言は明確ではない」点を指摘しています。
また同氏は、同書のスタイルを「古くて厄介なスタイルの小説で、個人的には全く好きではない」とし、世界的な“ベストセラー”作品であることに疑問を呈しています。
“書籍”の具体的な描写を批評するシーンでは、いかにして眠りにつくのか、またいかにして目覚めるのか、強引に指示する描写を許容できないとしながらも…
Yawn…rise and shine!
Nestled in comfy fabrics
A good morning kiss from the sun to start the day.あくび、、、日は昇り輝く!
心地よい毛布にくるまり
お日様の朝のキスで一日を始める
という箇所は自身の目覚めの様子と重なるようで「ここは素晴らしい」と好評価。
しかし、“目をまばたきする”と書かれているところでは、「“目”以外にまばたきできるものがあるのか、誤表記だ」と指摘し、“もう少しの間寝そべっていたいという衝動に駆られる”という箇所では「私は、一刻も早くこの“書籍”を放り投げたいという衝動に駆られる」と話します。
また、“幸せとは、超快適なソファーベッドであり、サイドテーブルであり、Wi-Fi接続があることである”という描写に対しては、「フロイトが説く幸福とかけ離れている」とし、この“書籍”を読むべきかという問いに対しては、ゲーテの言葉を引用し、「それぞれが己の意思に従って決めればいい」と話しています。
「小説としては、全ての要素が欠けている」と酷評するHellmuth Karasek氏による、真面目だからこそユーモアに富んだ『IKEAカタログの書評』です。ある種自虐的とも言える、斬新なカタログプロモーション動画をぜひ一度ご覧ください。
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