『人種差別に遭遇した時、あなたならどうしますか?』東欧人権団体による啓発実験が話題に
Case: Experiment TRANSLATION
リトアニア人権保護センターでは、人種、宗教、性的指向など全ての差別に強く反対し、また社会から差別をなくすための運動に取り組んでいます。このほど同団体では『実際に差別的表現を目にしたり、遭遇した時にどのように対応すればいいのか』をまとめたデジタルハンドブックをHP上で公開しました。
そして公開に合わせ、人々に差別についていま一度考えてもらうため、啓発実験を行いました。
実験の舞台となったのは、とあるオフィスビルのロビー。服にマイクを仕込んだ黒人男性(スタッフ)がソファーに座ってスタンバイすると、何も知らない実験の参加者がそこに案内されます。
近くに座った被験者に、黒人男性は「Hello.」とあいさつし、持っているタブレットを見せながら、「Facebookにリトアニア語でメッセージが来ているんだけど、訳してもらえませんか?」と英語で話しかけます。
みなさん快く引き受けますが、読み始めると、次第にその表情がこわばっていきます。「これ、誰からのメッセージ?」と聞いたり、難しい顔で首を振ったり、「この内容は訳さない方がいいと思う」という人も。
それもそのはず、そこに書いてあったのは「猿、リトアニアに何をしに来たんだ」「アフリカへ帰れ、さもなければ痛い目に合わせるぞ」など、黒人男性をひどく中傷する内容だったのです。
実験に参加した人たちの反応は様々でした。内容はあえて男性に伝えず、ただ「気にしない方がいい」とだけ言う人がいるかと思うと、内容は伝えないけれど「こんな酷いことを書いた人の代わりに謝るよ」という人、そして内容を男性に伝えたうえで「ごめんなさい」と泣きそうな顔で謝る人も。
ただ、ひとつ共通して言えるのは誰もが困惑し、辛い状況だったいう事。リトアニア人権保護センターでは、もしもこんな状況に置かれてしまった場合のために、ハンドブックを活用してほしい、と訴えています。
この実験の様子を収めた映像はYouTubeで200万回以上視聴されており、世界中の人に「もしも自分が被験者の立場だったら?」と考えるきっかけになったようです。
動画はコチラ
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