痛ましいテロ事件を“風化させないため”のPRプロジェクト『記憶力を高めるパン』
Case:The Bread of Memory
1994年6月18日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスのユダヤ人協会とイスラエル共済会館(AMIA)が爆撃されました。
85人の死者と300人以上の負傷者を出し、アルゼンチン史上最悪のテロ事件と言われています。
事件から18年以上経過した今もなおテロの真相は解明されていませんが、“犠牲になった人々や事件の記憶を風化させてはならない”と、AMIAはある啓発プロジェクトを仕掛けました。
ユダヤ人シェフや栄養士のボランティアの協力のもと、世にも珍しい『記憶力を高めるパン』を制作。
私たちの記憶力は、“口にする食べ物”によって改善することができるといいます。今回、脳内の記憶を司る部分の機能を高める栄養素を含んだ“特別なパン”を作り、市民に食べてもらうという試みを実施。
記憶力を高めてもらうことによって“事件の風化を防ぐ”とともに、このパンを痛ましい事件を記憶に留めておくための“シンボル”としました。
パンのレシピはインターネット、料理教室、劇場、看板広告などで掲示するだけでなく、テレビやラジオなど様々なメディアで紹介されたといいます。
ベーカリーやレストランでもパンを販売し、マクドナルドのメニューにも加えられたほど。
同時に数多くの人々がソーシャルネットワークを通じてこのアイディアに賛同し、レシピを広めていきました。そしてその動きは最終的に大統領にまで届き、ついには“事件の捜査再開”へとこぎつけたといいます。
どこまで狙っていたのかは定かではありませんが、最終的に“事件の再捜査”という大きな成果に繋がった点が素晴らしいですね。
『記憶力を高めるパン』のレシピ(スペイン語)に関心のある方は、コチラで見ることができます。
動画はコチラ
参考サイト
I Bilieve in Advertising
http://www.ibelieveinadv.com/2013/06/amia-the-bread-of-memory/
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