カンヌ2部門受賞の超ハイレベルな“炎上マーケティング”
Case:The American Takeover
2011年Cannes Lionsでプロモ&アクティベーション部門とダイレクト部門の2部門でグランプリを獲得したプロモーション。
背景・課題
ルーマニアのチョコレート菓子「ROM」は、1989年のルーマニア民主化以来、パッケージに国旗をモチーフとしたデザインを採用し、長らく多くの国民に愛されてきたが、近年若者にとっては『ダサいお菓子』の典型となり売れ行きが芳しくなかった。
この状況を打開することが「ROM」にとって急務であった。
プロモーション方向性
ルーマニアの若者の大多数が考える“クール”の代名詞と言えば『アメリカブランド』、という認識を生かすとともに、国民の愛国心をあおることを企図した。
施策内容
プロモーションの第1段階として、「ROM」のパッケージデザインをルーマニア国旗から『アメリカ国旗』をモチーフにしたデザインに刷新し、この大胆なパッケージの変更について、TV-CMや店頭キャンペーン、WEBサイトなどで告知を行った。
この行為により、ルーマニア人の愛国心に火をつけることになり、国民からこのデザイン変更への非難、批判が続出した(これらの非難は想定通りだそうです)。
例えば、プライムタイムのニュース番組でもこのパッケージ変更が議論の的になったり、
Facebookでも、『以前の「ROM」を返せ!アメリカ「ROM」は追放せよ!』とばかりに、数多くのユーザーが一斉に抗議行動に参加して盛り上がりをみせたようです。
「ROM」はこのような状況下においてプロモーションの第2段階として、一夜にしてパッケージデザインを元のルーマニア国旗デザインに戻し、アメリカ国旗デザインへの変更は『ジョークであったこと』をTV-CMやWEBサイトなどで伝達するとともに、「ルーマニア人の愛国心の再発見」を『(国民)みんなで喜びましょうよ』と市民に呼びかけた。
結果
・このキャンペーンは67%のルーマニア国民に到達した。
・広告換算で300,000ユーロものフリーパブを獲得し、何千もの「ROM」に対するブログ上での議論が生まれ、「ROM」のFacebookのファンはわずか4日間で20000人増え、6日間で従来より300%増加した。
・ブランド指数(「このブランドは自分のためのブランドである」と考える人の割合)は124%増加した。
・Snickersを抜いてルーマニアでチョコレート菓子のマーケットリーダーに躍り出た。
・同市場で圧倒的な20%ものシェアを獲得した。
これはある意味で超ハイレベルな炎上マーケティングですね。
ブランドへの批判、非難を消費者から意図的に噴出させるネタを提供し、あおらせるだけあおった上で、、大どんでん返しを食らわせる発想。
リスクもあったでしょうが、これを構想した方の想像力は只物ではないです。
いや~~~脱帽です。
動画はコチラ
参考サイト
・Ads Of The World
http://adsoftheworld.com/media/ambient/rom_the_american_takeover?size=_original
1