春から始めるウェルビーイング 企業と自治体8つの事例
年度の切り替わりを迎える春は、生活や働き方を見直すきっかけになりやすい時期です。
近年は「健康」「ウェルネス」「ウェルビーイング」をテーマにした企業や自治体の取り組みが数多く見られるようになりました。
本記事では、そうした取り組みのなかから、制度や仕組み、伝え方の工夫によって行動や意識の変化を促している事例を中心にピックアップしています。
1. オンライン×オフラインの運動習慣化施策 LINEヤフーが「東京都スポーツ推進モデル企業」に初選定

LINEヤフー株式会社は、ウォーキングを中心とした運動習慣化施策が評価され、東京都が実施する「東京都スポーツ推進企業認定制度」において、「令和7年度東京都スポーツ推進モデル企業(スポーツの実践部門)」に選定されました。
同制度は、従業員のスポーツ活動の促進や、スポーツ分野での社会貢献に取り組む企業を東京都が認定するものです。そのなかでも、先進性や波及効果の高い企業が「モデル企業」として選定されます。
LINEヤフーでは、「働くwell-beingの向上」を掲げ、社員一人ひとりが心身ともに良いコンディションで働ける環境づくりに向けた取り組みを継続的に行っています。オンラインウォーキングイベントをはじめ、健保組合と連携したアプリの活用や、オフィスでの体力測定、歩幅チェックスペースの設置など、オンラインとリアルを組み合わせた施策を展開してきました。
さらに2020年からは、歩数と体重の記録を条件にインセンティブを給与で支給する「グッドコンディションボーナス」を導入。給与と連動させることで参加を促し、従業員のウェルビーイングを企業の制度として支えようとする工夫が表れています。
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2. 地域の声をすくい上げる対話型ワークショップ 福井県坂井市が取り組む、三国湊のまちづくり

福井県坂井市では、港町・三国湊の将来像を描くまちづくりワークショップが始まりました。街の人口減少に伴い空き家や空き地が増えるなか、住民や事業者が集い地区ごとに意見を交わす取り組みです。
三国湊は、江戸から明治期にかけて北前船交易で栄え、歴史的な町並みが今も残る港町です。ワークショップでは、こうした街の背景を踏まえながら、将来の街のあり方を起点に、空き家・空き地の活用や観光の方向性など具体的な課題が共有されました。
運営を担うのは、一般社団法人「アーバンデザインセンター坂井(以下、UDCS)」です。アーバンデザインセンター(UDC)は、「公(行政)・民(民間)・学(主に大学)」が連携してまちづくりを考える拠点として全国に約30ヵ所あり、なかでもUDCSは、歴史的な市街地を生かすまちづくりを扱っている点が特徴的といいます。
対話を重ねながら方向性を探るプロセスを重視し、来春までに5、6回の開催を予定しているそうです。住民同士の議論を積み重ねることで、住み心地の良いまちづくりを自分ごととして捉える土壌を育て、地域のウェルビーイングにつなげていく、中長期的な視点で進められる取り組みです。
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3. キャッチーなIPで健診受診を促す 神奈川県医療保険課のキャンペーン施策

神奈川県では、特定健康診査の受診率向上を目的とした啓発キャンペーンを行っています。企画・制作を手がけたのは、アニメやキャラクターIPを活用したコンテンツ制作を行う株式会社ディー・エル・イー(DLE)です。
本キャンペーンでは、ギャグアニメ『秘密結社 鷹の爪』とコラボレーションし、特定健診の重要性を伝えるWebアニメやポスター、リーフレットを展開。キャッチコピーとして「あとまわしが わざわいのもと」を掲げ、年に1度の健診を後回しにすることで生じるリスクを、ユーモアを交えながらわかりやすく伝えます。
コンテンツは、神奈川県公式YouTubeチャンネルのほか、公共交通機関や商業施設などでの掲出も予定されており、日常の導線上でメッセージに触れられる設計です。あわせて制作されたリーフレットには生活習慣を振り返るチェックシートを掲載し、自分の状態を確認しながら検診受診を考えるきっかけをつくっています。
シビアになりがちな公的メッセージを、親しみのあるIPの世界観を通してわかりやすく届け、行動変容を促すキャンペーン施策です。
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4. 企業の健康経営を後押し 運動習慣ゼロ層を巻き込む法人向けプログラム

原宿駅前で経営者向けパーソナルジムを運営するほか、法人向け健康経営支援サービスを展開しているフラクタルワークアウト株式会社は、運動習慣がない従業員層を主対象とした全社健康増進プログラムの提供を開始しました。
同プログラムは、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」において、運動習慣者の割合が28.7%と整理されている現状を踏まえた設計です。運動の必要性を感じながらも行動に移せていない従業員をはじめとし、社内全体での行動定着を目指します。
具体的には、短時間メニューや対面・オンラインの併用によって参加の心理的・時間的ハードルを下げています。加えて、睡眠・食事・運動・回復・ストレスといった判断軸を共通言語として整理し、部署や年代による健康意識の差があるなかでも、企業として共通の視点を持てる構成になっています。
ウェルビーイングを企業経営のテーマとして捉え、その需要を見据えて設計・打ち出された法人向け施策の一例です。
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5. 自然に癒され、自分と向き合う 星のや富士の1日1名限定プラン「森のウェルネスひとり旅」

星野リゾートが展開する「星のや富士」では、富士山麓の森を舞台に、1日1組(1名)限定の滞在型プログラム「森のウェルネスひとり旅」を提供しています。
プライベートサイクリングや鍼灸指圧、自然の中で呼吸に意識を向ける時間などを組み合わせ、心身の状態を整える設計です。1日1名という定員は、体験の希少性とクオリティを担保するための設定といえるでしょう。
「星のや」は、軽井沢で良質な睡眠をテーマにしたウェルネスプログラム「眠りの逗留」を通年で提供するほか、トマムでは5月病を切り口にした「リフレッシュステイ」を展開しています。
京都でも、緑に囲まれ心身ともに落ち着ける季節の催しを用意するなど、拠点ごとに表現は異なりますが、心と体に向き合う時間を星のやならではの滞在設計に組み込んでいることが伺えます。
宿泊施設としての取り組みの中で、ウェルビーイングのニーズを巧みに捉えている企業のひとつです。
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6. 川柳で「肥満症」の見方を変える 製薬企業が共同で取り組む啓発プロジェクト

米国発の研究開発型製薬企業の日本法人である日本イーライリリーと、1678年創業の歴史を持つ日本の製薬企業・田辺ファーマは、肥満症の理解促進を目的とした啓発プロジェクトとして「肥満症のただしいミカタ川柳」の入選作品を発表しました。
本企画は、3月4日の世界肥満デーに合わせて展開された「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトの一環です。
肥満を生活習慣や自己管理の問題として捉えがちな社会的な見方に対し、肥満症を治療が必要な病気として正しく理解してもらうことを狙いとしています。川柳という表現手法を用いることで、当事者だけでなく周囲の人にも考える機会を創出。さらに、最優秀賞・優秀賞作品には、SNSで人気のキャラクター「ネギうさぎ」を起用したビジュアル展開を行い、今後広告としても活用していく予定といいます。
川柳や話題のIPを用いることで、デリケートなテーマを正面から説得するのではなく、受け手との距離感を和らげながら届けています。医療情報に直接触れにくい層も含めて肥満症をめぐる認識の入口を広げようとする、周知の仕方に工夫を凝らした企業発の啓発事例です。
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7. 熊本を「ウェルビーイング先進県」に! 明日が楽しみになる「ポジティブエイジフェス」開催

再春館製薬所グループのオープンイノベーション推進会社である再春館共創ラボラトリーは、体験型イベント「ポジティブエイジフェス」を2026年3月6日(金)・7日(土)の2日間、熊本市中心部で初開催しました。
年齢を重ねることを前向きに捉え、「明日が楽しみ」と感じられる体験を通じて、地域のウェルビーイング向上を目指す取り組みです。
熊本県や熊本市、特許庁などと連携する大規模ビジネスイベント「INNOVATION FES KUMAMOTO」のコンテンツとして実施された本イベント。行政・企業・スタートアップが連動する枠組みのなかで、ウェルビーイングを“体験”として提示しました。
会場では、健康・食・運動といったテーマを軸に、スタートアップと一般生活者が直接コミュニケーションを取れる場が設けられました。実感を伴う形で接点をつくることで、社会実装を後押しします。産官が一体となって、熊本を「ウェルビーイング先進県」として発信し、地域の活性化や経済発展を図る取り組みです。
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8. 昨年利用社員の83%が症状改善を実感 社員の声で進化した「花粉症手当」

完全調理済み冷凍食品を提供するクックデリは、福利厚生制度「花粉症手当」を内容拡充のうえ2年目も実施しています。花粉症を個人の体調管理に委ねるのではなく、企業として対応すべき健康経営課題として捉えた取り組みです。
同社では、社員アンケートを通じて花粉症が業務パフォーマンスに影響している実態を把握。昨年の制度導入後に寄せられた社員の声を踏まえ、今年は治療費補助額を引き上げ、レーザー治療など根本治療をも後押しする設計としました。
また、高保湿ティッシュの配布に加え、社員からの要望を受けてマスクの常備を開始するなど、対策を拡充。社員の声を起点に制度を見直すプロセスそのものが、社内エンゲージメント向上にもつながっているといいます。
花粉症を個人の悩みから企業の健康経営テーマへと引き上げる本施策。この福利厚生を通じて同社を知った求職者もいたそうで、企業の姿勢を示す取り組みとして採用文脈にも波及している好例です。
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春から始めるウェルビーイング 企業と自治体8つの事例まとめ
ウェルビーイングは、理念やスローガンを掲げるだけでは形になりません。今回紹介した事例は、健康経営やまちづくり、啓発活動など分野は異なる一方で「どう設計し、どう届けるか」に向き合っている点が共通していました。
メッセージそのものだけでなく、行動や意識の変化につなげる導線設計が、取り組みの価値を社会に届けるうえで重要であることが読み取れます。
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