“飲む雑誌”『ブラックコーヒーBEANS』創刊……フルヤ乳業とカヤックの挑戦
千葉の乳業メーカー古谷乳業株式会社(以下、フルヤ乳業)と面白法人カヤックが共同で商品開発した新コーヒーブランド「ブラックコーヒーBEANS」が、首都圏のファミリーマートで2025年7月29日(火)から発売されています。
「ワインのように奥深いコーヒーの世界をもっと多くの人に知って、楽しんでもらいたい」という想いから、“飲む雑誌”というコンセプトのもとに誕生。乳業メーカーがあえて乳製品を用いないブラックコーヒーを発売するという珍しい取り組みです。
フルヤ乳業は1945年に千葉県で創業した乳業メーカーで、学校給食牛乳として親しまれてきた「フルヤ牛乳」やヨーグルトの製造・販売を手掛ける老舗。一方の面白法人カヤックは、既成概念を超えるユニークな広告やゲーム制作で知られています。
両社は2023年から協業を開始し、「ミルクの束縛 ミルクコーヒー」や「物語のあるヨーグルト」シリーズを展開してきました。これらの商品は、インパクトのあるネーミングとパッケージデザインが話題を呼び、「ミルクの束縛」は発売から1年4カ月で累計200万本を突破したという人気商品で、PR EDGEで取り上げた際にも大きな反響を呼びました。
両社にとって第3弾の共同企画となる「ブラックコーヒーBEANS」。コンセプトに則り“創刊号”として、希少な高級豆「ゲイシャ」を使用した「ブラックコーヒーBEANS ゲイシャブレンド」(500ml、税抜価格368円)を発売しました。
“飲む雑誌”たる所以は、雑誌をめくるように楽しむパッケージデザインにあります。紙パック飲料としては珍しく人物イラストを前面に配し、商品情報だけでなくコーヒー豆の知識や楽しみ方を記載した読み物を掲載。さらに、紙パックを開いて解体すると、編集後記と特別付録が登場するという仕掛けが用意されています。
フルヤ乳業の開発担当者は1日に20杯以上を試飲し、ドリップとブレンドのバランスを調整。ゲイシャ種特有の華やかな香りと柑橘類を思わせる酸味に、グアテマラコーヒーの芳醇な香りとコクを組み合わせることで、奥行きのある味わいを実現したとしています。
その味わいは、発売からおよそ2週間を経て、スペシャルティーコーヒー愛好家やインフルエンサーからSNSで好意的な評価を得ているようです。また、自家焙煎珈琲店「珈琲玉澤」(千葉県香取市佐原)の店主、玉澤光成氏は試飲後、「透明感があり、ゲイシャ特有のフルーティさとフローラル感が楽しめる」と評価。ブレンドで合わせた豆の選定や比率について「上手だ」とコメントしています。
フルヤ乳業は清涼飲料水市場でシェア上位を占めるコーヒー飲料に参入することで、酪農家の減少や生乳の供給変動といった業界課題への対応策として新たな事業の可能性を探る狙いがあるといいます。
「ブラックコーヒーBEANS」は今後、さまざまな豆を特集する”飲む雑誌”としてシリーズ展開。次号では世界各地のコーヒー文化に焦点を当てた新たな商品を提供する計画です。乳業メーカーならではの視点と、カヤックのクリエイティブな発想が組み合わさった商品が、プレミアムコーヒー市場にどのような影響を与えるか注目されます。
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