実は岡山生まれ。「点字ブロックタクシー」で視覚障害者の移動支援と社会的理解を促進
岡山県岡山市に本社を構える岡山交通株式会社(両備グループ)は、2025年3月18日(火)の「点字ブロックの日」に合わせて、視覚障害者の移動支援と社会的理解の促進を目的とした特別仕様の「点字ブロックタクシー」の運行を開始しました。
本取り組みは両備グループが推進する地域創生プロジェクト「WONDERFUL SETOUCHI(ワンダフルセトウチ)」から誕生した、「イエロースペシャリティー」シリーズの第5弾として実施される施策です。
世界に広がる岡山発祥の点字ブロックとその役割
点字ブロック(正式名称:視覚障害者誘導用ブロック)は、視覚障害者の歩行を支援するための設備として、今から58年前の1967年3月18日に岡山県立岡山盲学校近くの横断歩道に世界で初めて設置されたもの。考案者は岡山県倉敷市出身の三宅精一氏で、交差点を横断する白い杖を持った方の横を、車が勢いよく走り去ったのを目撃したことが点字ブロックを作ることになる大きなきっかけでした。
一般財団法人「安全交通試験研究センター」によると、現在では点字ブロックは約150の国や地域に広がり、視覚障害者の安全な移動を支えるインフラとして活用されているとのこと。設置された日である3月18日は「点字ブロックの日」として制定され、毎年その意義を伝える活動が全国で行われています。
社会にメッセージを伝えるタクシーデザイン
「点字ブロックタクシー」は、JPN TAXI(トヨタ・ジャパンタクシー)をベースに、黄色の車体に濃い色の点字ブロック模様をポップにあしらった注目度の高いデザイン。車体側面には、白杖を持って歩く人の姿と「点字ブロックは岡山生まれです」という大きなメッセージが描かれています。
車内も工夫が施されており、助手席と後部座席の足元には本物の点字ブロックを設置。シートカバーには点字ブロックと街の人々の様子をイラストで表現し、やさしい雰囲気を演出しています。
さらに、点字や点図でデザインの意図を説明した資料や点字ブロックの歴史や役割を解説するリーフレットも常備され、移動時間を学びの機会に変える仕様です。
乗務担当社員は、株式会社ミライロが主催する「ユニバーサルマナー検定(※)3級」を取得しており、視覚障害者を含む多様なお客様への丁寧な対応を行います。また、ご乗車された方には、点字ブロックタクシーのオリジナルシールとアクリルキーホルダーがプレゼントされます(※数量限定)。
※ユニバーサルマナー検定
株式会社ミライロ(本社:大阪市淀川区、代表取締役社長 垣内 俊哉)が主催。
多様な方々と向き合う上で必要な「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけるための検定。3級取得講座では障害のある方や高齢の方への向き合い方やお声がけ方法などを学習する。
3つの新展開で共生社会づくりを加速
岡山交通は点字ブロックタクシーの運行とともに、共生社会に向けた3つの取り組みを今後展開予定です。
1つ目は、視覚に頼らず楽しめる「体験型観光プラン」の販売。音や手触り、香り、味覚などを活かしたプログラムを用意し、点字ブロックタクシーやジャンボタクシーで案内します。乗務員が付き添いながら、すべての人が楽しめる旅をサポートします。
2つ目は、障害のある方の移動支援を強化する「あんしんナビタクシー(仮)」の導入。事前登録により乗車時の希望や配慮事項をドライバーへ予め伝えることができ、安心して利用できるタクシーサービスを実現します。2025年夏頃のサービス開始を予定しています。
3つ目は、教育機関との連携による体験学習。点字ブロックタクシーを教材として、視覚障害者の移動に関する課題やバリアフリーの必要性について学べるプログラムを岡山県内の学校などで展開していく予定です。
“見つけたらうれしい”だけじゃない。「イエロースペシャリティー」の社会的意義
「点字ブロックタクシー」は「イエロースペシャリティー」シリーズの第5弾にあたります。これまでに第1弾「黄ニラタクシー」、第2弾「岡山カレータクシー」、第3弾「サンタロウタクシー」、第4弾「酒米・雄町タクシー」が運行されており、いずれも岡山の名産や文化とコラボレーションした地域密着型のCSR施策でした。
本シリーズは希少な黄色いタクシーとして「見つけたらうれしい」楽しさがある一方で、社会課題や地域の誇りを発信する「動くメディア」としての役割も担っていることが伺えます。
小さな一台から始まる、やさしい社会への道
点字ブロックタクシーは視覚障害者への配慮だけでなく、誰もが安心して暮らせる社会をつくるための「気づき」を届ける存在。交通インフラを担う企業として、岡山交通は移動の支援にとどまらず、人々の意識を変える啓発にも力を入れていることが伝わります。
一台のタクシーが走ることで誰かの理解が深まり、やさしい行動が生まれる。点字ブロックタクシーは、共生社会に向けた確かな一歩を岡山から全国へ届けている施策でした。
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