「攻めのノンアルしちゃおっか。」サントリー2025年に約50億円を投資し施策を展開

サントリーは2025年にマーケティング費用を前年の約1.3倍となる約50億円に増額し、ノンアルコール飲料市場のさらなる成長をけん引する方針を発表しました。

ノンアルコール飲料を「アルコール0.00%のお酒」として位置付け、お酒の持つ価値や魅力を伝えながら「酒類文化の伝承」に取り組む考えです。これにより、市場全体の2025年販売数量が対前年103%と推定される中、サントリーは110%の成長を目指し、シェア拡大を狙います。

サントリーの2025年戦略と施策

近年、健康志向の高まりやライフスタイルの多様化により、ノンアルコール飲料(※1)市場は大きく成長しています。2024年の市場規模は約4,580万ケース(対前年111%)と推定(※2)され、2014年と比較すると約1.6倍に拡大しました。サントリーの予測によると、2030年には5,600万ケース規模に達する可能性があるとのことです。

2025年同社は、新設した「ノンアル部」を中心に「ブランドポートフォリオの再構築」「飲用接点の拡充」「コミュニケーションの刷新」「業務用市場の強化」という4つの施策を展開予定。

ブランドポートフォリオの再構築では、消費者がノンアルコール飲料を選ぶ際の「わかりやすさ」と「楽しさ」を強化。具体的には、消費者ニーズを「気軽にリフレッシュしたい」「お酒の楽しい気分を味わいたい」「日常生活で手軽に健康を気遣いたい」という3つのカテゴリーに分け、それぞれに合った商品展開を行うとのことです。

飲用接点の拡充では、より多くの消費者にノンアルコール飲料の魅力を知ってもらうため、大規模な試飲キャンペーンを実施。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)や愛知県の「IGアリーナ」など、人が多く集まるイベントや施設でノンアルコール飲料の販売を強化する計画です。

さらに「攻めのノンアルしちゃおっか。全国ツアー」と「攻めのノンアルCHEERS」を4月以降順次展開し、延べ100万人にサンプリングを行う予定。商業施設や公園、アウトレットモールなどで試飲会(※3)を開くほか、駅や街頭、ショッピングモールなど日常の生活圏でもサンプリングを行い、ノンアルコール飲料の新規ユーザー獲得と継続的な飲用促進を目指します。

コミュニケーション戦略の刷新では「攻めのノンアルしちゃおっか。」をキーメッセージに掲出。ノンアルコール飲料をあえて選択することで、日常のさまざまなシーンをもっと楽しい時間にすることを提案していくそう。

業務用市場の強化も積極的に進めていくとのこと。2010年に「オールフリー」小瓶を発売して以来、サントリーは飲食店向けに「オールフリー樽詰」などの製品を展開し、現在では約55,000店舗(※4)でサントリーのノンアルコール飲料が提供されています。

今後はさらなる需要拡大を図るため、さまざまな清涼飲料と組み合わせて楽しめる「ベースのノンアル」を今秋に発売予定。これにより、飲食店でのノンアルコールカクテルのバリエーションが広がり、消費者に新たな飲用体験の提供が実現することが予想されます。

※1:アルコール度数0.00%の、ビールテイスト飲料やRTDテイスト飲料、ワインテイスト飲料など
※2:350ml×24本換算
※3:一部販売も実施予定
※4:2025年1月時点

サントリーの取り組みと社会的意義

サントリーの施策は単なる売上拡大だけではなく、飲酒文化の多様化や健康的なライフスタイルの提案といった社会的意義も併せ持っていることが伺えます。飲酒を強制しない文化の醸成やノンアルコール飲料の新たな価値の提案は、企業の社会的責任の観点からも高く評価される予感。

とくに「ノンアル部」の設立は、ノンアルコール飲料市場のさらなる発展を目指す長期的な取り組みであり、今後の市場拡大に大きく貢献しそうです。

ノンアル市場の未来とサントリーの挑戦

2025年に約50億円を投資し、ノンアルコール飲料市場のさらなる拡大を図っていくサントリー。100万人規模のサンプリングイベントを実施するだけでなく、業務用市場でも新商品を投入し、飲食店でのノンアルコール体験を強化するなど、多方面からノンアル市場の発展に貢献していく方針です。

サントリーの取り組みは、ノンアルコール市場全体の成長をさらに加速させる可能性に満ちています。今後、どのような新しい価値が生まれるのか、引き続き注目していきたい施策でした。

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