ブランディングは見た目から? 企業ユニフォーム刷新10事例

身につける人にとっても職場や学校の一体感など心理的な効果をもたらすユニフォーム。また、接客業務に携わるスタッフは、直接的にお客様と向き合う企業や店舗などの顔となるため、ユニフォームはお客様への企業や店舗からのメッセージを伝える役割も果たします。

直接的に広報・宣伝活動とは違うかもしれませんが、学校、店舗やサービス業態におけるユニフォームの重要性は不変です。今回はそんなユニフォームの刷新やリサイクルなど直近の10事例をまとめてお届けします。

1.ワールドグループが神戸須磨シーワールド、神戸須磨シーワールドホテルのユニフォームをデザイン

株式会社ワールドプラットフォームサービスの生産系子会社である株式会社Idiom。「生産・製造プラットフォーム」としてアパレルや雑貨のODM、OEMからユニフォーム事業を手がけています。

そして今回、2024年6月1日(土)にグランドオープンした「神戸須磨シーワールド」「神戸須磨シーワールドホテル」において、現場スタッフが着用するユニフォームのデザインを手がけました。

Idiomは、水族館の飼育員が着用するユニフォームに加えて、館内のレストランやショップキャストスタッフ、併設されているオフィシャルホテルのキャストが着用するユニフォームをデザイン。今回のユニフォームは、“空にジャンプするシャチ ~生物とつながる~ INモダンな港神戸 ”をテーマにかかげており、神戸須磨シーワールドの世界観を体現しつつ、水族館で働くキャストの日々のモチベーションが上がり、また水族館で迎えるお客様にも親しみと安心感を持ってもらえるようなスタイルを目指したといいます。

また、港町神戸のモダンさを表現するため、配色は全体的にシックなカラー構成に。今まで水族館のユニフォームで多く使用されていたブルーの配色をあえて使わず、黒・白・グレーのモダンなモノトーン色を取り入れることにこだわりました。

さらに、シャチのモノトーン配色をポロシャツの切り替えで表現し、アパレルメーカーならではのデザイン性を全面的に出しながらユニフォーム素材にもこだわりました。シャツにはダンガリー風ジャージ素材を使用し、着心地・機能性を考えました。ボタンには、港町神戸を表現するため錨のマークを入れています。このようにさまざまなアパレルのノウハウを盛り込み、現場で動きやすいよう全体的に着心地のよい素材で仕上げつつ、モダンなデザインに仕上げています。

神戸須磨シーワールドが位置する兵庫県神戸市は、株式会社ワールド発祥の地。地元企業として、神戸のさらなる発展を願うワールドの思いを込めて、このユニフォームは作られています。

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2.福岡のサウナ、グリーンランド中洲店のスタッフ制服をアパレルブランド・BEDLAM / ベドラムがデザイン

サウナ&カプセルホテル運営を行う、株式会社日創は、福岡県福岡市中洲で運営する、サウナ&カプセルホテル「グリーンランド中洲店」の制服をアパレルブランド、BEDLAM (ベドラム)製のウェアで統一しました。

スタッフが気持ちよく働ける「かっこいいデザイン」としてのウェアの採用は「お客様に価値を提供する誇りを持った職場としてのグリーンランド」に繋がると願ってのリニューアルとなっています。

これまでグリーンランドのスタッフ制服は統一されておらず、フロントスタッフは私服のスーツ、館内スタッフは私物のTシャツなどを着用していました。お客様との見分けがつかないだけでなく、業務内で私物を用意しなければいけないという課題もありました。

そこで今回、2つの観点からスタッフウェアを用意。一目でスタッフとわかるようなウェアが必要ということ。自分たちがグリーンランドスタッフであることを誇れるようなデザイン、ブランドで制作するということ。そんな思いから制作された新しいスタッフウェアは、東京の蔵前に店舗を構えるインド出身のデザイナー、ニハール氏によるブランド、「BEDLAM」で制作されました。人気ブランドによる、この世に他とないウェアを作ることで、自分たちが誇れる職場になって欲しいと願いが込められています。

フロントスタッフの制服は、ベドラムで販売していた、インドで縫製されたワークウェアに、グリーンランドのロゴを入れた独自のものを制作。デザインはもちろんのこと、ワークウェアとしてワーキングクラスの人たちが誇れるようなウェアを作りたかったというベドラムのデザイナーの意図が、グリーンランドの「人を元気にして復活させる」というコンセプトに近しいことから導入が実現しました。

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3.三浦工業設立65周年の節目となる制服リニューアルで、環境配慮の再生ポリエステルを採用

三浦工業株式会社は、2024年5月1日(水)に設立65周年の節目を迎えました。これを機に、15年ぶりとなる制服リニューアルを行い、5月23日(木)より順次着用を開始しています。

今回の制服のリニューアルにあたっては、実際に着用する社員にアンケートを取り、デザインも投票を実施して決定するなど、社員の意見を積極的に取り入れています。また、採用した生地の一部には、ペットボトルをリサイクルしてできた再生ポリエステルが使用されるなど環境にも配慮したものとなっています。

また、旧制服については、衣服のリサイクルシステム「AITOZ/BRING UNIFORM」を導入し、リサイクルされる予定。「AITOZ/BRING UNIFORM」では、企業やブランドで不要になった衣類と使用済みの作業服が日本環境設計株式会社(株式会社JEPLAN)の北九州響灘工場へ集められ、綿とポリエステルに分けられます。

ポリエステルは新たな衣類を作る原材料としてのポリエステルとなり、石油由来のポリエステルと比べてCO2の排出量が少ない素材です。また、綿は液体燃料となって燃料として再利用される仕組みとなっています。

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4.社食のノンピ、「社食の会社って意外といいかも」新卒人材確保と業界認知へスタッフの制服を刷新。

食でココロつなげるセカイをつくる“フードコミュニケーションカンパニー”株式会社ノンピは、社食スタッフの新制服を公開しました。

ノンピは、社内カフェテリアの企画/運営においてトレンドを捉えた企画力で業界に変革を起こす経営を目指し、先日新たに採用ページを公開。これまでは中途採用がメインでしたが、業界全体の人手不足の課題解決に向け、今後は大学や専門学校への訪問も強化し、若手採用に繋げていくとしています。

また、業界全体のイメージアップや認知の定着、興味関心を抱いてもらえるようにビジュアル面でも改革を起こすべく、より親しみやすいスタッフの制服を作りました。新制服は、2024年5月オープン以降の新店にて順次採用されています。なお、導入企業のロゴを入れたオリジナルTシャツを制服にすることも可能となる工夫も取り入れています。

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5.ファンケル直営店舗の新制服は、12アイテム67通りのコーディネートが楽しめるように

株式会社ファンケルは、2024年5月16日(木)から、全直営店舗のスタッフが着用する制服を、4年ぶりに刷新しました。新しい制服は、全12アイテムの中から一人ひとりが好みのアイテムを選び、自身の私服を組み合わせることで67通りのコーディネートが可能。自身の個性を引き出し、年代や性別を問わないデザインとなっています。

そして、新制服の一部には、海洋漂着したペットボトルから作られた再生素材を新たに採用。使用済みとなった現制服は回収後、アップサイクルして店装に活用するなど、環境に配慮した取り組みも推進するとしています。

新制服のデザインのキーワードは、気取らずにおしゃれを楽しむというトレンドワードの「エフォートレス」。自然体で安心感や親しみやすい印象を演出しながらも、しっかりとおもてなしができ、機能的で着心地の良いものです。色調は、落ち着きと穏やかな印象があるライトグレーと、リラックス感や清潔感のあるライトブルーを採用。

また、制作にあたっては、株式会社オンワードコーポレートデザインと協業しています。制服を選ぶ楽しさや自分らしく個性を表現できる制服で、スタッフのさらなる活躍や働きがいを感じてもらえることも期待しての刷新となりました。

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6.神戸ポートタワーのユニフォームは、神戸ファッション美術館の協力によるユニセックスで着られるジャケットコート

フェリシモが屋上デッキや展望フロア、低層1階エントランスやチケット売り場をプロデュースする「神戸ポートタワー」。2024年4月26日(金)に、耐震補強工事を終えて2021年9月27日から2年7ヵ月ぶりにリニューアルオープンしました。

コアバリュー「ともにしあわせになるしあわせ」を大切にするフェリシモは、2025年に阪神・淡路大震災から30年を迎える神戸の象徴「神戸ポートタワー」をもっと素敵に輝かせて、「brilliance -赫き(かがやき)」のコンセプトのもと、訪れた人自身がますますかがやきを増すような場所にしたいと考えているといいます。

リニューアルオープンにあわせて「神戸ポートタワー」のスタッフ用の制服もリニューアル、20世紀初頭のオランダの男性衣装をもとにデザインしたユニセックスなジャケットコートへと刷新されました。神戸ポートタワー刺しゅうのワンポイントの入った赤い靴下も着用しています。

この制服リニューアル事業は、公立では日本初となるファッションをテーマにした美術館である「神戸ファッション美術館」の協力のもと、神戸全体の観光や財産をより多くの人に知ってもらうための取り組みとして実施されたものです。

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7.北海道・学校法人大藤学園の園児のために、アダストリアが幼稚園の制服を初プロデュース!

「Play fashion!」をミッションに掲げ、”グッドコミュニティ共創カンパニー”を目指す株式会社アダストリア。そのBtoB事業を手掛ける「アダストリア・ライフスタイル・クリエイション(ALC)」が、北海道の学校法人大藤学園が運営する幼稚園・認定こども園の制服をプロデュースしました。

子どもたちが、のびのびと過ごすことのできるように開発したオリジナルの新しいデイリーウェアで、時代のライフスタイルニーズを汲み「遊び」に必要な機能性を持たせたこだわりの制服です。2024年4月より、大藤学園にて園児が着用を開始しています。

「アダストリア・ライフスタイル・クリエイション」は、アダストリアが30以上のアパレルブランドをマルチカテゴリー展開してきた経験と、幅広い世代との顧客接点を活かし、多くの企業と協業を行っています。今回のプロジェクトは、大藤学園からの「子どもたちを取り巻く環境や社会情勢の変化に迅速に対応することで、幼児教育を守りながらも、さらに発展させていきたい」という想いに共感し、実現しました。ファッションの力で子どもたちの笑顔があふれる状態を目指して、制服のリニューアル開発をしたものです。

子どもを取り巻く環境や、子育て世代の保護者のライフスタイルに応じた制服へのリニューアルをするために、現場の先生らとの意見交換や着用テストを実施。期間は約1年半にわたり、在園時の過ごし方や園内環境の視察、取り扱いの要望をヒアリングしながら共同開発したといいます。「遊び」に特化した、大藤学園のユニークな制服となりました。

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8.“らしさ”を表現する。漂着ペットボトル由来の素材を採用したドトール新ユニフォーム

株式会社オンワードコーポレートデザインは、株式会社ドトールコーヒーの全国2万人の従業員が2024年12月から着用する新ユニフォームを製作することを発表しました。

今回、約8年ぶりに一新される新ユニフォームは実際に着用する従業員の意見を積極的に取り入れて製作されているほか、機能性やファッション性に加え、生地素材の一部に漂着ペットボトル由来の素材である「UpDRIFT®︎(アップドリフト)」を採用しています。

UpDRIFT®︎は、豊島株式会社が展開する再生繊維で、海・川・森に廃棄され散乱する漂着ペットボトルごみなどを、地方自治体や企業と連携して行うクリーンアップ活動「Green and Blue Challenge®︎」で回収し、アパレル製品原料となる資源(糸)に生まれ変わらせます。さまざまな方や企業と連携をしながら、海洋・漂着ペットボトルから生まれた繊維がアイテムへと生まれ変わっていくことを通して、環境問題を考えるきっかけに、そして循環の輪が未来に拡がっていくことを願う思いが込められています。

新ユニフォームの製作にあたり、オンワードコーポレートデザインとドトールコーヒーは、目指す姿やユニフォームの一新を通じて実現したいことを明確にするため、ブランディングワークショップを実施。役員を含む従業員6名と3回にわたるディスカッションを経て、ブランドスローガン「すべての今日を、支えていく。」をキーワードに、ドトールコーヒーらしさを表現する新ユニフォームを目指すことが決定しました。そこから実際に店舗でのサンプル着用を繰り返し、従業員の意見を反映したデザインや仕様へと改良を重ねて今回の新ユニフォームが完成しています。

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9.サステナブルな循環型ユニフォームの実現に ザ セレスティンホテルズと三井ガーデンホテルズが約1万着分の制服を再生繊維へ

株式会社チクマは、株式会社三井不動産ホテルマネジメントと連携し、同社が運営する「ザ セレスティンホテルズ」「三井ガーデンホテルズ」における2023年12月から新制服の導入に伴い、使われなくなった旧デザインの制服、約10,000着をすべて自動車内装材としてリサイクルしました。従来であれば、不要となった制服を廃棄物として扱っていたところをチクマの持つリサイクルシステムを使って実施された取り組みです。

この取り組みによるCO2の排出削減量は、約13,125kgとなり、ゴミとして焼却する場合と比べて92.7%の削減となります。再資源化を行うことで、廃棄物の削減に加えて廃棄段階でのCO2排出も抑制できるため、環境負荷低減とともにSDGsの達成にも寄与することができる取り組みとなっています。

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10.「ID UNITED ARROWS」が川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムのスタッフ用ユニフォームをプロデュース

株式会社ユナイテッドアローズが展開する法人向けユニフォームレーベル「ID UNITED ARROWS」は、川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムのアテンド、カフェ、ショップの各スタッフ用ユニフォームを企画制作しました。2024年6月12日(水)より着用開始されています。

川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムは、『ドラえもん』『キテレツ大百科』『パーマン』『エスパ―魔美』など、数々の国民的まんが作品を残した藤子・F・不二雄先生の作品原画や関連資料等を展示する文化施設です。

F先生が作品の中で描いたのは、完全無欠のヒーローではなく、失敗が多くて苦手意識や劣等感を抱える人間らしいキャラクターばかり。壁にぶつかり、悩み、つまずきながらも勇気と正義感を持って困難に立ち向かう姿は、読者に強い共感と親しみやすさを与え、今なお多くのファンに愛され続けています。

そこで、「ID UNITED ARROWS」は、この共感と親しみやすさこそがF先生の作品世界に共通するコアメッセージであると考え、今回のユニフォーム企画制作にも反映。すべての人の好奇心に寄り添い、作品とミュージアムの世界観を一貫して表現すること、来館されるお客様はもちろん、袖を通すスタッフにもワクワクしてもらえるようなデザインであることを目指したユニフォームとなりました。

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企業ユニフォーム刷新10事例まとめ

さまざまな考えや思いが込められ、刷新されているユニフォームたち。同じデザインを着用するということにこだわるのではなく、快適さやメッセージ性など工夫を凝らして企画、制作されていることが伝わってきます。

着用する側への心理的アプローチもさることながら、こだわりのあるユニフォームにはPR、ブランディングの機能があることを窺わせる事例が集まりました。

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