9,000本の花でヒトの脳を表現。オピオイド依存症への理解を呼びかける啓発キャンペーン

Case: #HopeStems

近年問題になっている『オピオイド』という薬をご存知でしょうか。これは強い鎮静作用を持つ医療用麻薬で、がんなどの痛みを抑えるために使われます。

しかしこの薬は中毒性が非常に強いことに加え、以前は医師からの処方により比較的簡単に入手できたため、薬物依存に陥る人々が急増。現在アメリカでは毎日130人以上が過剰摂取により命を落としているそうです。

薬物中毒というと性格的な問題や意志の弱さを指摘されがちですが、実際には脳の病気であり、専門的な治療を受けることによって回復することが可能。その事実を人々に知ってもらうため、薬物依存症患者の支援活動を行う団体・Shatterproofはニューヨークで啓発キャンペーンを実施しました。

4月2日、マンハッタンのヘラルドスクエアに登場したインスタレーション。9,000本のカーネーションで表現したのは人間の脳で、あちらこちらに黒いケシの花(オピオイドの原料)が混じっています。

ケシの花を抜くと、茎の部分に布がまかれており『オピオイド中毒は脳の病気です、意志の問題ではありません』とのメッセージ。依存症に苦しむ人を咎めたり非難するのではなく、理解と支援を呼びかけたのです。

依存症からの脱却が困難だといわれるのは、自分の意志ではどうにもできないことに加え、周囲からの偏見が患者をより孤独へと追い込んでしまう点が大きいといいます。

Shatterproofの特設サイトでは、症状の解説や治療の方法、依存症から立ち直った人の体験談などを紹介しています。薬物治療を成功させるためには、病気に対する知識を深め、社会全体で取り組んでいくことが大切なのだと呼び掛ける啓発キャンペーンでした。

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