「この形を“愛する”人もいるんだ」北欧ハンバーガーチェーンによる、『珍メニュー』を使ったLGBT啓発施策
Case: Rate love over hate
ブルガリアのハンバーガーチェーン・Skaptoburgerがソーシャルメディアで展開したLGBT啓蒙キャンペーンをご紹介。
同性間の結婚を認める同国の法案に対して75%の国民が反対しているという現状を変えるべく、一風変わった手法でメッセージを発信しました。
同チェーンが掲げるスローガンは「ハンバーガーとビール、そして気の合う仲間たち。他になにもいらない」。「おいしい食事のもとに人々は平等である」という精神からも、“誰かが誰かを嫌悪する社会を見過ごすことは出来ない!”とキャンペーンの顛末を紹介した動画の冒頭でメッセージが掲げられます。
しかし、75%もの人々がLGBTの人々に嫌悪の眼差しを向けている現状では、そのまま真正面から政治的なメッセージを発信しても理解を得ることは難しい── そう考えたSkaptoburgerは、ある「奇策」に打って出ました。「レインボーを彷彿とさせる“熱帯マンゴー入りのハンバーガー”を発売する」と、同チェーンのFacebookで発表したのです。
返ってきた反応は“予想通り”のものでした。「ゲロ吐きそうだぜ」「こんなゲイ向けハンバーガーに金なんか出せるか」「おい、こんなクソみたいなロゴに変えやがったら(Facebookページの評価を)星2つ(低評価)にしてやるからな」
コメント欄を埋め尽くす、容赦ないヘイトメッセージの数々。同チェーンのFacebookページの平均評価は、キャンペーン前の4.7から3.3にまで大きく下げられてしまいました。彼らはわざわざ悪評価を付けてまで、キャンペーンを展開した同チェーンを“攻撃”したのです。
これを受けて、同チェーンはキャンペーンの本当の意図を説明する「アンサーメッセージ」を投稿しました。
「『普通じゃない』と感じること、自分達の『常識』に反すると感じたものを攻撃してしまう人が多いのが、この国の現状です。あなたにとって『普通じゃない』ことは、ある人々にとっては『ごくごくあたりまえの日常』かもしれません。世の中には『マンゴー入りのハンバーガーがなによりのごちそうだ』という人もいるのです。みんなで、もう少しお互いの大切なものを尊重しあいませんか?」
このメッセージを投稿した直後から、事態は大きく変化しました。
低評価を付けていた人々のうち、400人が評価を改めたのです。
結果、同チェーンのFacebookページの平均評価はキャンペーン前を上回る4.9にまで急上昇しました。
ブルガリアの人々があたりまえの日常として愛するハンバーガーを題材に「みんなにとってハンバーガーは美味しくあるべきだ」というというメッセージを発信し、「自分たちの他にもある価値観の尊重」を問う── 人によっては避けたがるであろうヘビーな社会問題に絶妙なセンスでくさびを打ち込んだ、印象的なキャンペーンでした。
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