多様化する社会を受け入れて。アブソルート ウォッカが“排他的な国”で実施したプロモーション
Case: True Colors of Slovakia
中央ヨーロッパに位置するスロバキアは欧州諸国の中でも排他的な風潮があり、外国人や有色人種に対する嫌悪感が強いと言われているそうです。
『お酒を通じて人と人との絆を深める』ことをモットーとしている大手ウォッカブランド・ABSOLUTは、このようなスロバキアの人種主義に真っ向から立ち向かうキャンペーンを実施しました。
同社が着目したのは、誰もがよく知る民謡。『スロバキアの母親たちには、素晴らしい息子/娘がいる』といった歌詞の歌なのですが、これをアレンジして黒人女性アーティストのNataliaさんによるリメイク曲として発表したのです。
そして彼女をモデルに起用したポスターを制作し、バス停やビルボードに掲示したところ、国内のインフルエンサーがこぞって賛同。テレビやラジオなど300以上のメディアでも取り上げられた結果、パブリシティは広告換算でおよそ16万ユーロにものぼったといいます。
ABSOLUTはまた、多様性やジェンダーイクオリティをテーマにした50の楽曲をピックアップし、スポティファイのプレイリストにして公開したり、アブソルートウォッカの限定デザインボトルを発売するなど、多角的なキャンペーンを展開。その結果ウォッカの売り上げは前年に比べて13%アップしたそうです。
「私はスロバキア人。この国には多様性がある。」「共に生きよう。」と語ったNataliaさんには、心無い誹謗中傷の言葉も寄せられたものの、それ以上に「素晴らしい」「人種だけでなく、全ての偏見をなくそう」といった前向きな意見も多かったといいます。
排他的な国民感情をすぐに変えるのは難しいかもしれませんが、多くの人にとって『人種』『多様性』というトピックについて考えるきっかけとなったであろうキャンペーンでした。
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