自閉症は“障害”ではなく“特性”。積極雇用を促した、仏食品メーカーによるCSR施策

Case: Autism Can Work

生まれつきの脳機能障害により、社会性やコミュニケーション能力が低かったり、特定のことに対し強いこだわりを持つといった特徴がある自閉症。

現在、フランスにはおよそ50万人の自閉症者がいるそうですが、体の障害と違って見た目には分かりずらいために、周囲から誤解をされてしまったり、孤立してしまうケースも多くあるといいます。

このような状況を受け、ジャムやコンポートなどのフルーツ加工品を製造販売するANDROSは、自閉症という発達障害に対する人々の意識を変える取り組みを始めました。

一口に自閉症と言っても、言語的な発達の進度、言葉による指示の理解度、感覚の過敏性など、その症状は様々。その半面、記憶力が非常に優れていたり、手先が器用な場合もあるため、対処や支援の方法もその人によって異なってきます。

まずANDROSは、自社工場で彼らを他の従業員と同じ手当・待遇で雇い入れることに。そして他の企業にも雇用を促すため、個人別に自閉症の症状や重度などのプロフィールを記載したプラットフォーム『Autism Can Work』を作成しました。

症状の記入にあたっては、自閉症によくある『強迫性障害(同じ行動を何度も繰り返すこと)』を『驚異的な集中力』と言い換えたり、物事や行動への強い執着を『正確性へのこだわり』とするなど、ポジティブな表現に。

こうして個々のアピールポイントをAutism Can Workに掲載すれば、企業は自社にとって必要な人材を探すことができ、また受け入れ態勢をスムーズに整えられるというわけです。

このプロジェクトは、メディアで紹介されるや否や大きな反響を呼び、ついには政府が自閉症の人々を支援するための予算を組むほどの社会的な注目を集めました。

自閉症を“障害”ではなく“特性”として活かすことを目指した、素晴らしいCSR施策でした。

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