ネットウケに振り切り101人のインフルエンサーに広告制作を依頼!「#イートミントなう」実現の舞台裏

Case:ロッテ『#イートミントなう』

話題になった、または今後話題になるであろう日本国内の広告・クリエイティブの事例の裏側を、案件を担当した方へのインタビューを通して明らかにしていく連載「BEHIND THE BUZZ」。

今回は、ロッテの新商品「EATMINT」のTwitterキャンペーン「#イートミントなう」を取り上げます。全国コンビニ、駅売店先行発売開始に伴って展開され、2017年11月28日11時28分に一斉にスタートした本キャンペーン。タイムラインがジャックされたかのようにインフルエンサーたちの広告ツイートで埋め尽くされました。フォロワー10万人超えのアルファツイッタラー、起業家、芸能人、イラストレーター、ライター、フォトグラファー、モデルなどあらゆる分野のインフルエンサーを総勢101名起用。ガムでもタブレットでもない新しいカテゴリー商品「EATMINT」のキャッチコピーをそれぞれが制作。

この企画が立ち上がった経緯からインフルエンサー101名の広告制作の裏側まで、企画を担当した株式会社エードット 小野川翼さん、噂のホールディングス コピーライター 長谷川哲士さん、デザイナー 村山ムーポン辰徳さん、橘しゃっくさん、宿利秀一さんにお話を伺いました。

Interview & Text : まきだ まどか
ネットに振り切った施策でインフルエンサーを101人キャスティング

―この企画が立ち上がった経緯を教えてください。

小野川:ロッテの新商品「EATMINT」は11月28日に全国のコンビニ、駅売店で先行発売となりました。この発売に伴い、「EATMINT」という新商品を今までになかった方法で話題にしたいとロッテさんからお話をいただいたのが始まりです。

―このチームに依頼があったのは、やはりネットに強いからでしょうか?

小野川:長谷川が運営するTwitterアカウントのフォロワーは約14万人、グループ会社である株式会社カラスの牧野はFacebookで約7万人のフォロワーがいます。コピーライターの中でも特にフォロワーが多く、ネットに詳しい人間が2人いるということがご依頼いただいた理由だと思います。

―今回のキャンペーンのターゲット像を教えてください。

小野川:メインターゲットは30代のビジネス層です。テレビや新聞、デジタルなど様々なメディアに触れる層ですが、今までになかった話題の作り方ということで、Twitterに振り切った施策をご提案させていただきました。


―何人の方をキャスティングしたのですか?

長谷川:最終的には101人です。根強いファンを持つであろう方に様々な方面から集まっていただくべく、僕たちでリストを作成して、クライアントに確認をしてもらって依頼しました。

橘:私はTwitter経由で連絡をして、インフルエンサーの新規開拓を行いました。今回の企画では、主に写真、コピー、イラストの3つのジャンルの広告を制作していて、それぞれTwitterで影響力のあるクリエイターに声をかけています。つぶやきシローさん、メンタリストDaiGoさん、ネゴシックスさんなど一部著名人の方にもご協力いただきました。


―フォロワーが1万人以下の方にも依頼しているかと思いますが、狙いはあるのですか?

長谷川:Twitterでの話題化のため、できるだけたくさんの人に依頼して広告を作ってもらい、幅広くリーチして拡散されていってほしいという想いがありました。

橘:フォロワーが多くなくても、フォロワー全員が熱量の高いファンであれば、そこからリツイートが重なって拡散することがよくあります。「私しか知らないこの人がこんなおもしろいことしてる」とシェアされるんです。

101人とのやりとり、ディレクション、デザイン…膨大な作業量

―インフルエンサーとの広告制作はどのように進んでいったのですか?

長谷川:コピー、写真、イラストなど内容はそれぞれですが、グラフィック画像を作ってもらいました。つぶやきだけでも成り立ちますが、よりタイムラインが華やかに見えるようグラフィックにしました。

ムーポン:Twitter用の横画像と縦画像、ポスター用の3タイプのフォーマットを用意しました。縦と横の画像を混ぜるなど、作りこみすぎないことで素人っぽく見せ、二次創作のように見せることを意識しました。その方がネットでウケがいいんです。


―広告制作にあたって、表現して欲しいこととして、どんなことをインフルエンサーにお願いしていたのですか。

長谷川:EATMINTの爽快さについて表現してほしいと伝えました。また、「EATMINT」はガムでもタブレットでもない新しいカテゴリーを作っていく商品だということで、既存商品に見えないような表現をお願いしました。みなさんコピーライティングについては結構苦労されていました。ひとりずつコピーの確認をし、何度か修正を繰り返して効果的な表現になるようチューニングしていきました。

ムーポン:101パターンそれぞれをデザインするのもとても大変でしたね。

小野川:コピーのディレクション、デザインができたら、できあがったもののイラストや写真のチェック、画像と一緒に投稿してもらうツイート文も確認する必要がありました。ロッテさんの方でもすべてチェックしていただいたので、相当な作業量だったと思います。一緒に取り組んでいただけたロッテさんの担当の方々には本当に感謝しております。


Twitterトレンド1位に!その後トレンド入りを4時間キープ

―インフルエンサーが制作した広告が同じ時間に一斉にTwitterに投稿され、タイムラインが埋め尽くされたのが印象に残っています。

長谷川:Twitterトレンドに載せたかったので、11月28日の11時28分に一斉に投稿してもらいました。遅れた人もいましたが、みなさん13時までには投稿してくれました。

橘:すぐにTwitterトレンド1位になり、4時間くらいトレンド入りをキープしていました。

―ツイートだけではなく、ポスターも張り出されていたようですね。

長谷川:渋谷、新宿、神田、池袋、町田のJRの駅に8名分のポスターを貼り出しました。画像よりも写真で撮ったものの方がリツイートされやすいという仮説をもとに駅貼りポスターを展開しました。


―リリース後の反応について教えてください。

長谷川:「ロッテの広告イケてる」というような好意的な反応が8割、残り2割くらいが「パワープレーすぎる」というような反応でした。実際に商品を買ってその写真とともに「#イートミントなう」のハッシュタグを付けてつぶやいてくれた人もいましたね。

橘:思っていたよりも二次創作を作ってくれた人が多かったのが印象に残っています。それもあって、トレンドに入っている時間が長かったのだと思います。

ムーポン:フォーマットを作るときも、なるべく誰でも簡単に作れることを意識し、わざと手をかけなかったので、二次創作が広がったのだと思います。ネット上で二次創作用のフォーマットを作ってくれた人もいました。

クリエイター101人とのコラボを次につなげたい

―他にはどんな反響がありましたか?

宿利:参加してくれたインフルエンサーから「またやりたい」という声を多数いただきました。中には、初めて仕事として依頼をもらったととても喜んでくださった方もいました。インフルエンサーたちのまわりからの反応もよかったようです。エンドユーザーも企業もハッピーになり、インフルエンサーにも楽しかったといってもらえたのがうれしかったです。

ムーポン:今回の企画がきっかけで、101人のコピーライター、イラストレーター、フォトグラファーなどの方々とコラボでき、つながりができました。今後の仕事にもつながると思います。


―キャンペーン終了後、ロッテさんからの反応はいかがでしたか?

小野川:とてもよかったです。ロッテさん社内でも盛り上がってくれたようです。「#イートミントなう」というハッシュタグを付けたことで、商品名をしっかり覚えてもらえたことも大きな意味があったと思います。今までにないアプローチだったので、これまでと違った反応を得られているという点や新たな発見があった点などを喜んでいただけました。

―今回の企画のように多数のインフルエンサーを起用する企画は今まであまりなかった気がします。

橘:思いついたとしても、労力が大きいのでやらなかったのだと思います。

小野川:インフルエンサーマーケティングに強い事務所に任せてキャスティングしてもらい、キャンペーンをするというのはあると思いますが、今回はキャスティングからすべて自分たちで行っています。キャスティング会社に任せたら、今回のような結果にはならなかったと思います。

―一般的なインフルエンサーを起用したキャンペーンとの違いは何でしょうか?

長谷川:インフルエンサー参加型の企画にしたことが大きな違いだと思います。インフルエンサーマーケティングというよりも、「インフルクリエイターマーケティング」だと誰かがいっていて、確かにそうだなと思いました。新たなチャレンジとしてインフルエンサー自身に商品の広告を一緒に作ってもらったというのがよかったのだと思います。


(写真左から)株式会社エードット 小野川翼さん、噂のホールディングス デザイナー 村山ムーポン辰徳さん、コピーライター 長谷川哲士さん、橘しゃっくさん、宿利秀一さん

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