キノアーキテクツの福岡市立平尾霊園合葬式墓所「2022年度 グッドデザイン賞」を受賞  プレスリリース

 

福岡市の閑静な住宅街に隣接する平尾霊園内に新設した合葬式墓所。近隣住宅との関係を調整しつつ、敷地のランドスケープを修景したことが高く評価されました。キノアーキテクツのグッドデザイン賞受賞は、6作目になります。

【作品概要】
核家族化や死生観の変化で、承継の必要がない墓の需要が高まっています。福岡市は、昭和30年開園の平尾霊園内に新しく合葬式墓所を整備することを決定し、キノアーキテクツがその設計を担当しました。設計にあたって、かつて霊園を造成する際に削られた山に着目しました。今回の建設で生じる掘削土で、その山を修復するよう山裾を延ばし、その下に埋蔵室を埋め、山の上に献花所を設けるというデザインにしたのです。献花所の周りは円弧状の壁とベンチで囲み、その外側に既存樹を活かした公園をつくり、墓所と公園という日常・非日常を壁1枚背中合わせで共存させています。公園や近隣住宅から献花所は直接見えず、山は風景として映ります。故人は山に抱かれて眠り、遺された人は山を前に故人を想い、故人に見守られ公園で過ごします。山の力を借りることで、特定の宗教色のない、自然と調和した施設をつくりました。

□施設名:福岡市立平尾霊園合葬式墓所
□所在地:福岡県福岡市南区平和4丁目
□主用途:合葬式墓所、公園
□構造:RC造、S造
□敷地面積:7403.07㎡
□事業主:福岡市
□建築設計:キノアーキテクツ 木下昌大
□URL:https://www.kinoarchitects.com/works/44_fukuoka/

 

【審査委員の評価とコメント】
近年、霊園は建築デザインの力が入る領域となっており、これもそのひとつだが、特に近隣住宅との関係を調整しつつ、ランドスケープの修景を実践したことが、重要なポイントである。合葬式墓所の建設で生じる残土を有効に利用し、背後の荒れた山に補填することによって、埋蔵室を埋めながら、献花所からは自然の風景を拝む空間形式を導いた。屋上の緑化や円弧状の壁は、住宅地から見えないよう配慮したデザインである。なお、承継の必要がない合葬式墓所も、死生観が変化した現代的なプログラムだろう。

 

【建築家 木下昌大のコメント】
このたび「グッドデザイン賞 2022」を受賞できたことを大変うれしく思っております。プロトタイプが存在しない「合葬式墓所」を設計する機会をいただけたことも光栄です。今日の建築従事者に求められているのは、自然環境を壊す建築ではなく、建築をつくること自体が自然の修復につながる建築だと考えています。そういった思いを込めて、この合葬式墓所の建築設計に取り組みました。
福岡市立平尾霊園合葬式墓所は、多くの福岡市民の方々からの応募があると伺っております。合葬式墓所の設計を通して、墓という社会インフラを持続可能にする仕組みをデザインすることができたのではないかと自負しています。

 

【会社概要】
​株式会社キノアーキテクツ
代表取締役:束野由佳
本社住所:東京都新宿区下落合2-25-9
URL: https://www.kinoarchitects.com
東京と京都の2拠点で、建築家の木下昌大を中心に活動する建築設計事務所。建築をとりまく環境を最適化し、サステナブルな社会を建築で育みます。

 

配信元: PR TIMES
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