30か国で刊行の世界的話題作『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』が9月28日発売。事前予約受付中! プレスリリース
- 『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』内容紹介
現代の国家間や地域間に存在する貧富の巨大な差の根本原因は、何なのだろうか? 経済格差を考えるうえで、興味深い事実を紹介しよう。実は、人類が誕生して以来30万年近くもの間、つい200年前の19世紀になるまで、世界中にほとんど大きな経済格差はなく、生活水準はほぼ一定だったのだ。
図1を見るとわかるとおり、世界各地の1人当たりの所得は19世紀までずっと生存水準ぎりぎりのところで停滞していた。それが19世紀に急上昇しているのがわかる。
また、人類は19世紀以降に経済成長を果たしたものの、その歩みは一様ではなかった。図2は、過去2世紀における世界各地の1人当たりの所得の相違を示している。西ヨーロッパ諸国と、北アメリカやオセアニアなど西ヨーロッパから派生した国の一部では、早くも19世紀に生活水準が飛躍的に向上したが、アジア、アフリカ、ラテンアメリカのほとんどの地域では20世紀後半になってようやく向上が見られた。これが今日の経済格差となって表れている。
『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』では、まず19世紀頃の経済成長がなぜ起きたのかを考察する。人類発展の背後にある原動力を特定することが、19世紀以降の各国の発展度合いに差が生じた理由を理解する助けになるからだ。こうして前半では、ホモ・サピエンスの出現から現代に至るまで、人類史の節目となった出来事をたどっていく。
ガロー氏のすごいところは、今日の国家間の経済格差を理解するために、経済学における“統一理論”といえる「統一成長理論」を作り上げたところだ。物理学者たちが自然界の力の相互作用を統合する理論「万物の理論」を作ろうとしているのと同じように、経済学における統一理論を構想したというのだから、そのスケールの大きさと独創性は他に類を見ない。
統一成長理論は、何万年にもわたる停滞の時代と、19世紀以降の持続的な経済成長の時代とを2つの別個の現象ととらえるのではなく、1つの統合された総体としてとらえ、それぞれの時代をつなぐ力は何だったのかを明らかにする。この統一成長理論により、なぜ人類は停滞の時代を脱して経済成長できたのかを鮮やかに解明するのが前半のハイライトだ。ここでカギとなるのは「人的資本」への投資であるが、そこには「教育の利益率上昇」「出生率の低下」といった興味深いキーワードが密接にかかわっている。
後半では、いよいよ格差の謎に迫る。前半で明らかにされた「人類史の原動力」の分析をもとに、世界各国で経済成長に大きな差ができた原因を探っていく。時代を遡りながら制度的・文化的要因のほか、地理条件を仔細に検討していくが、ガロー氏によれば「社会内部の多様性」が根本要因の一つであるという。そしてそれを検証するためには、数万年前の人類の「出アフリカ」に遡らなければならないのだ。この知的刺激に満ちた謎解きこそが後半の(そして本書全体の)ハイライトになるが、詳細は本を読んでぜひ確かめていただきたい。
本書の最後には、格差解消のための指針も示されており、ガロー氏はこう結ぶ。「私が願うのは(中略)この格差の起源を理解して貧困の緩和に向けたより良い取り組み方を見つけ、人類全体の繁栄に役立てるようになることだ。(中略)読者が、先々待ち受ける今よりさらに豊かな未来を思い描き、その実現に向けて努力できるようになることを、私は願ってやまない。」
- 著者プロフィール
オデッド・ガロー(Oded Galor)
ブラウン大学経済学教授。ルーヴァン・カトリック大学およびポズナン経済大学から名誉博士号を授与される。アカデミア・ユーロペアの外国人会員(名誉会員)。計量経済学会の選出フェロー。「経済成長ジャーナル」の編集長を務める。「統一成長理論」の創始者であり、人類史の全過程にわたる発展のプロセスの理解と、停滞から成長への移行や世界規模の巨大な格差に根深い要因がいかなる役割を果たしたかの理解に貢献してきた。
- 商品情報
『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』
オデッド・ガロー 監訳 柴田裕之 訳 森内 薫
出版社:NHK出版
発売日:2022年9月28日
定価:2,530円(税込)
判型:四六判上製
ページ数:336ページ
ISBN:978-4-14-081911-1
NHK出版ECサイト:
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000819112022.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4140819111/
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