その手があったか!! 発想が参考になる世界のバナー広告10選
Case:World Great Online Banner Advertising
世界各地のユニークなバナー広告をまとめて紹介します。
思わずクリックしたくなるバナー広告、ブランディングにも繋げることを意図したバナー広告など斬新な事例を集めました。
ではどうぞ!
1.“クリックできない”バナー広告
スポーツ用品ブランドEngelhorn sportsによる新作テニスラケットのバナー広告。
女性テニスプレイヤーがラケット片手に構えているというクリエイティブですが、ユーザーがこのバナー広告をクリックしようとして、広告にカーソルを持っていくと、あたかもテニスボールのようにカーソルをテニスラケットで打ち返され、クリックができないという仕掛けが施されています。バナーのどの位置にカーソルを持っていっても、様々な体勢から見事に打ち返してくるようになっている点も秀逸。
2.ヘディング体験ができるバナー広告
ワールドカップに便乗してAT&Tが仕掛けた、WEBカメラを活用した体験型バナー広告。
広告の舞台はサッカーのフィールドで、バナー広告の中にいるサッカー選手が蹴ったコーナーキックのボールに合わせて、ユーザーはWEBカメラを見ながら頭を振って(ヘディングして)、ゴールを奪う体験ができるという仕掛けが施されています。
WEBカメラがある程度普及している欧米ならではの企画。
3.CTR 6.9%を記録したバナー広告
[国名:ロシア/企業名:ソニー・コンピューター・エンタテインメント ]
PS3のゲームソフト「Gran Turismo 5」(レーシングゲーム)のバナー広告。
前作に比べて、よりリアルなレーシング体験が可能になった点を訴求するために制作したもので、実際に存在する3都市(ローマ、東京、ロンドン)のレース場をGoogle Street Viewを活用して再現し、キーボードの方向キーなどによる操作で、リアルに近いレーシング体験ができるという仕様。
このバナー広告は、CTRが6.9%という驚異的な数値を記録して大成功を収めました。
4.“世界一長時間”のバナー広告
「やばいほど味長続きガム」として日本でもコミュニケーションを図っているガムブランド“ストライド”のバナー広告。
ストライドのガムの“味が圧倒的に長持ちする“ことを訴求する為の仕掛けとして、『世界一長時間のバナー広告』を制作。「Click here!」と書かれた動く的を最も長時間クリックした状態で、マウスポインタをその的から外さなかった人に500ドルをプレゼントするという企画。
時間が経つほどに、的を持っている男性は予想外の動きで的を外させようとしてきます。更にところどころで、キュートな子猫や赤ちゃん動画のバナー広告を別欄で表示して、マウスポインタを的から外させようと誘惑してきます。マウスポインタが的を外れた段階でゲームオーバーとなり、それまでの時間が記録として残るというもの。優勝者の記録は何と46分27秒でした。
ブランドメッセージとリンクした楽しませてくれるバナー広告に仕上がっています。
5. “ピンチ”することで表示されるiPhone用バナー広告
イスラエルのメガネ屋さんOpticanaのiPhone向けの広告。
iPhoneユーザーであれば誰でも、親指と人差し指を使って画面を拡大・縮小する“ピンチ”を使いこなしますが、その行動を逆手に取った巧妙なバナー広告です。イスラエル大手ニュースサイト『ynet』(iPhone版)に出稿されたこのバナー広告は、iPhoneユーザーが“ピンチ”して画面を拡大することにより、はじめてポップアップで広告が表示されるという仕掛けが施されています。
そして表示されるバナー広告には、『(ここに書かれている文字を)はっきりと見るためにズームする必要がありますか?』というメッセージとメガネが描かれており、視力の悪い人や乱視の可能性のある人に対して、巧みにメガネの利用について興味喚起する仕掛けが施されていました。
「iPhoneでニュースを読んでいてテキストが見づらくて“ピンチ”すること」って多くの人が行っているのではないでしょうか。そのタイミングでこんな広告を見せられると、強く印象に残ったり、関心をもってバナーをクリックする人も多いのではないかと推測されます。
もちろん、ウザッと感じてしまう人も中にはいるでしょうが、そのように感じる人は始めから彼らのコミュニケーションターゲットの中から意図して除外されているんだとも感じました。みんなに驚きを与えて同様に心地よい広告って、実のところ誰にも深く響かないことの方が多いと考えているのではないでしょうか。
「スマートフォンに出稿された広告」の中で最もインスピレーションを掻き立てられた広告でした。
6.“Webカメラ連動型バナー広告”
フォルクスワーゲンの小型SUVティグワンに新しく搭載される“Kessy System”(キーレス・エンジンシステム)の特徴を訴求するバナー広告。
“Kessy System”は、エンジンをかけるのに鍵が不要で、ハンドルのそばのボタンをワンプッシュするだけでエンジンがかけられるという画期的なシステム。
同社が制作したバナー広告は、パッと見では自動車が掲載された普通の代物ですが、クリックすると、ユーザーにPCのウェブカメラを指で触るように要求してきます。リクエストの通り指でウェブカメラのカメラ部分をふさいでみると、バナー広告に掲載された「ティグワン」にエンジンがかかって、走り出し、バナーから飛び出していきます。そして残されたバナーには、『Kessy Systemなら毎回ポケットからわざわざキーを取り出さなくても、(こんな風に)ボタンを押すだけでエンジンがかけられるんですよ』というメッセージが表示されて、サプライズの種明かしとなります。
「ウェブカメラを指でタッチする動作」で「キーレス・エンジンシステムを疑似体験させる」という想像力溢れる企画に仕上がっています。
7.2種類の広告を連動させるストーリー型バナー広告
トヨタの新型カローラを訴求するバナー広告。広告テーマは『Dig』(掘る)。
ニュースサイトトップページの右カラムとヘッダーに同時に出稿。右サイドバナーの中にいるスーツ姿の男性が、ヘッダーバナー内に展示されているカローラを探し当て、乗り去り、もといた右サイドバナーに戻ってくるというストーリー型式の広告。
カローラが乗り去られてしまった後、ヘッダーバナー内にいた3名の男女がカローラの置いてあったあたりを不思議そうに見つめる様子とともに、『誰かが先に購入してしまうに新型カローラを購入しよう!』というメッセージが表示されます。
ラストは、右カラムのバナーにはカローラをゲットして満足そうな男性とともに『チャンスを見逃すな!』というメッセージが表示されます。同ページ内の複数のバナーを連動させ、一つのストーリーにすることでユニークな形でユーザーに購買を訴求しています。
8.ソーシャルメディアで見栄をはっている人に刺さるバナー広告
[国名:コスタリカ/企業名:Gold’s Gym]
スポーツジム大手ゴールドジムがコスタリカで掲載したバナー広告。
上の画像がそのバナーです。『Ver perfil completo』というボタンを是非クリックしてみてください。
するとアイコン画像では表示されていなかったこの男性の本当の姿があらわれます。『Facebook のアイコン画像で、自身のことをよりよく見せようと見栄を張って(意図的に)写真から除外した部分(= 贅肉)をゴールドジムに通って、本当に除外しまいませんか!』と表現するクリエイティブ。
ソーシャルメディアにおける自身のプロフィール(写真など)を、“素敵に見せたい”というのは多くのユーザーが考えることだと思います。その結果、自身の身体的な特徴についてコンプレックスに感じている部分は意図的に掲載しない、という行為は程度の差こそあれ、多くの人が行っていることだと思います。(“隠す(表示させない)”とまでいかなくても、みなさんプロフィールには一番お気に入りの写真を使いますよね)
このバナー広告は、そういった現代人(特にゴールドジムのターゲットとなる働き盛りの成人男女)のインサイトを徹底的に追及して制作されたことが伺え、ユニークでありながらとても刺さる表現だと思いました。サイト誘導率も非常に高かったそうです。
9.ピアノが演奏できるバナー広告
保険会社のメットライフがニューヨークタイムズに出稿したバナー広告。
人気漫画“ピーナッツ”のシュローダー君が大きな会場でピアノを演奏しはじめようとしていますが、「彼を助けて」の文字とともにクリックが促されます。クリックすると、「キーボードで演奏して!」との指示があり、シュローダー君と一緒に演奏会場でピアノを弾くことができるという仕掛け。
演奏のテンポや正確性によって、随時「Keep up!」、「Play faster」といった指示がとんできます。ラストは、点数が表示されてフェイスブックにそのスコアを共有することを促されるという仕掛け。
メットライフも皆さんが今行ってくれたように、人々の大切な人生をサポートしていますということを訴求しているようです。
10.アルツハイマー病患者の症状を疑似体験させるバナー広告
[国名:カナダ/団体名:Société Alzheimer Canada]
カナダで活動するアルツハイマー病患者の支援団体による、市民への啓発と寄付金を集めるために仕掛けたWeb広告。
ご存知の通りアルツハイマー病患者は、病気の進行とともに記憶が怪しくなり、少しずつ記憶自体が消えていくものですが、病気発症の初期段階においては、特に「短期記憶(“さっき食べたものが忘れる”などの少し前に体験した記憶)」が思い出せなくなる、という症状があらわれます。
当施策は、そんなアルツハイマー病患者特有の辛い“症状”をWeb上で疑似体験してもらうという企画。
カナダの大手ポータルサイトにバナー広告を出稿しますがこのサイトをユーザーが、色んな情報を得ようと下部にスクロールしていき、、「やっぱりもう一度上のコンテンツを見よう」と思って、ユーザーが上部にスクロールしていくと、何と右サイドにあったバナー広告以外全てのコンテンツがまっさらになっているという仕掛けが施されています。
まさに『ほんの少し前に見た(体験した)情報が突然消えてしまう』という、アルツハイマー病患者の初期症状をWebサイトをスクロールするだけで、疑似体験できてしまうという企画。
この仕掛けの結果、広告のクリック率は通常のバナー広告に比べて400%も増加しました。こちらの施策は、数々の広告コンテストでも表彰されたそうです。
ポータルサイトを閲覧する人の何割かが、訪問時にとりあえず“上から下までどんな情報があるかをスクロールしてみる”という行動をとることを前提にして考案された施策のようですね。体験した人にはメッセージがズバっと伝わる、とても秀逸なインタラクティブ広告でした。
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