ホットでも楽しめる! サンクトガーレンの傷リンゴを活用したアップサイクルビール

神奈川県厚木市に本社を置くサンクトガーレン有限会社は、500個の焼きリンゴを使用し、アップルパイをイメージしたビール「アップルシナモンエール」のクリスマス限定ラベルの発売を開始しました。ラベルにはサンタクロースが大きなリンゴを引っ張るイラストとともに「Merry Christmas」のメッセージが描かれていて、クリスマスプレゼントにもおすすめの一品となっています。

諸説あるものの、クリスマスツリーの発祥の地ドイツではもともとツリーとして普及したのはリンゴの樹だと言われています。しかし、リンゴの樹は冬になると葉が落ちてしまうため、次第に常緑樹のモミの樹がつかわれるようになりました。その中で、リンゴの果実だけが飾りとして残り、クリスマスツリーのリンゴのオーナメントになるなど、今でもリンゴはクリスマスには密接な関わりがあります。

今回発売となったアップルシナモンエールに使用しているリンゴは、長野県伊那市の“傷リンゴ”です。風に揺られ枝と擦れて傷や割れがあるなど、色や形(サイズ)にバラつきがあるなど、通常品としては売り物にならない果実を買い取ってビールに加工しているといいます。また、台風が直撃した年には、その被害にあった果実も活用してきました。

関係者の話では、こういった傷リンゴは収穫量全体の3分の1量にもなるそうです。これらを加工品に有効活用することで食品ロス削減につながり、SDGs達成に貢献しています。

このビールは通常のビールと同じように冷やしてはもちろん、温めてホットビールにしても美味しいということで、公式サイト内ではホットビールの作り方も公開中です。

製造においては、“傷リンゴ”約500個を厚木市内の製パン店のオーブンを借りて焼きリンゴにするところからスタートするといいます。1日かけてリンゴを焼き、別日にビールを仕込む様子は、もはやビール造りというよりお菓子づくりです。

ベースのビールは軽く焦がした麦芽(モルト)である “カラメルモルト”を特徴的に使用した琥珀色のビール。このモルトは食べるとカラメルソースのような甘く香ばしい味がし、ビールにも同様の風味をもたらします。その風味と焼きリンゴなどの副原料の風味が相まってアップルパイのような味わいのビールになっています。

サンクトガーレンは、フルーツビールにも力を入れていて、リンゴの他にも神奈川オリジナル柑橘「湘南ゴールド」や、桃、梨などを使ったフルーツビールを季節に合わせて製造しています。

香料などに頼らず果物本来の香りや味わいを引き出すには、果物はたっぷり贅沢に使う必要があります。そのため、通常より安く仕入れられる、規格外のいわゆる“訳あり”果物でなければ採算が合いません。

訳あり果物の利用は、農家にとっては売り物にならない果物が売れる、サンクトガーレンにとっては安く果物を譲ってもらえるという互いにとってメリットのある関係です。製品の中には、訳あり果実に困った農家さんのSOSから誕生したフルーツビールもあるといいます。

訳あり果実をていねいに加工してビールにしているサンクトガーレンの取り組み。今回発売されたアップルシナモンエールはホットでも楽しめ、クリスマス時期を彩る華やかな商品でありつつも、食品ロス削減につながり、SDGs達成に貢献しています。

自然の中で栽培される農産物は、どうしても規格外が出現してしまうもの。通常であれば、廃棄するしかないものを手間と工夫で、より良い商品にできる可能性をあらためて感じさせてくれるアップサイクル事例がありました。

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