若者のインサイトをつくクリエイティブ!「セルフィー」をテーマにした世界の広告10選

Case: Selfie ads

スマートホンで自分の顔を写真撮影する行為、通称「セルフィー(自撮り)」。ハリウッドセレブがインスタグラムやTwitterなどのSNSに自撮り写真を投稿していったことから火がつき、現在日本を含め世界各地の若者の間で流行しています。

そんな今トレンドの「セルフィー」をテーマにした、ターゲットである若者のインサイトをつく広告・プロモーション事例をまとめてご紹介します。

世界各地のティーンに『自分自身の事柄だ』と受けとめてもらうために発案された、ユニークなアイディアと表現の数々をご覧ください。

1.鏡の世界が教えてくれる、インターネットの恐ろしさ。

[国名:ブラジル/団体名:Safernet Brasil]

Safernet Brasilというブラジルの市民団体が、若者にインターネットの危険性を啓蒙すべく、selfie(=セルフィー、自撮り写真)をテーマにしてプリント広告を制作。

上半身、裸の女性が自分の写真を鏡の前で撮影。それを彼氏に送っているのか、鏡の中には彼氏と思われる男性がいます。しかし、その鏡の中には合わせ鏡をしたときのように、奥行きが描かれ、そこに様々人々が同じように携帯端末を眺めるように描写されています。

コピーは、“The internet can’t keep a secret. Keep your privacy offline.(インターネットは、秘密を隠せません。プライバシーは、オフラインのままに)”。

ネットに写真をあげたり、メールで送ったりした瞬間に、そこには情報漏洩の危険性があることを、あえて明るいトンマナで描写することでその恐ろしさが端的に表現されています。意味が分かった瞬間に、ゾクッとしてしまうプリント広告でした。

2.あのセレブも自撮り! Instagramを使ったCalvin Kleinのセクシーなキャンペーン

(Image source:Calvin Klein HP & Instagram)

[国名:USA/ブランド名:Calvin Klein]

男性、女性双方から絶大な人気を誇る「Calvin Klein Underwear」が手掛けたキャンペーン「Show yours.」。数々のセンセーショナルな広告を打ち出しては、物議を醸してきたカルバン・クライン。この企画では芸能人やモデルなどのトップスターに下着を着用してもらい、インスタグラムに投稿してもらうという企画です。

日本でもテレビCMやファッション雑誌などでお馴染みのスーパーモデル、ミランダ・カーなどが続々と写真をアップ。総勢100人以上の芸能人、モデル、有名ブロガー達がセクシーで刺激的な写真を続々と投稿。世界中にいる、それぞれのファンからの注目を集めています。

さらにこのキャンペーンはセレブリティだけではなく、一般からの投稿も受け付け、ハッシュタグ「#mycalvins」をつけて写真を投稿すると、カルバン・クラインのHPに掲載されるチャンスがあるといいます。これによりうまくいけば、“あなた自身が憧れのスターたちと一緒に(並んで)カルバン・クラインのモデルになれるかも!?”というモチベーションを、世界中のファンたちへ提示しました。

3.自分史上最高の「自撮り」を約束してくれる美容サロンのプリント広告

[国名:ブラジル/企業名:L’Officiel Beauty Salon]

南米ブラジルの美容サロン「L’Officiel III Beauty Salon」が制作したプリント広告。“このサロンに通えば美しくなれる”というシンプルなメッセージを、スーパーモデルの奇抜なポートレートを通じて描きました。

ビジュアルをクリックするとよくわかりますが、細かなところまでハッピーな柄の絵文字だけで描写されています。コピーは、“more compliments per selfie.”([あなたの]セルフィーにもっと賛辞を)。

自撮りした写真をSNSで公開したり、メールで友人・知人に送った時に、「ポジティブなリアクションをより多く得られるようになりますよ」ということを示唆しています。モデルの片腕が自撮りする際の形になってますね。

モザイクのポートレートを広告クリエイティブで利用することはさして珍しいものではありませんが、絵の中に引き込まれそうになる独特なビジュアルが印象深く、さらに、コピーと一緒に見ることにより、スッと脳内にメッセージが刷り込まれる人もいるのではないかと思いました。現代女性のインサイトをもとに考案された面白い切り口です。

4.“水中セルフィー”をしてスマホをもらおう!

[国名:スイス/企業名:SAMSUNG]

スイスのチューリッヒでサムスンが、スマートフォンの最新機種ギャラクシー・S5のプロモーションのために、セルフィーに着目して屋外で実施したゲリラサンプリング。

まだ肌寒い春の日のチューリッヒ湖。気温は15度、水温はわずか8度の中、突如水中からダイバーが現れて、呼び出し音のなるギャラクシーS5を通行人に渡します。手に取って電話に出ると、影に隠れた仕掛け人から「もしも今手に持っているギャラクシーが欲しかったら、水中に飛び込んで水中セルフィーを撮って!」という指示がきます。

上着を脱いで飛び込む人たち。防水機能のあるギャラクシーでセルフィーを撮り、現れた仕掛人に撮った写真を見せてオッケーがでると、その場でスマートフォンがもらえます。防水携帯という商品特性をエンターテイメントを通じてコミュニケートしています。

5.ストロー1本でSNSの話題化に成功!「セルフィー」に着目した販促アクセサリー

[国名:USA/企業名:7-Eleven]

米セブンイレブンが販売しているシャーベット飲料「スラーピー」。「スラーピー」がおいしいシーズンの到来に向けて、5月初旬に販促用アクセサリーとして“ひげストロー”の提供を開始して話題を呼んでいます。

今回制作した“ひげストロー”は全4種類。InstagramなどSNSに投稿された“ひげ付セルフィー(セルフィー)”が話題となっており、瞬く間に150万件のインプレッションを獲得し、そのほとんどがポジティブフィードバックだったといいます。

詳細な売り上げデータは開示されていませんが、“ひげストロー”付き「スラーピー」は当初の期待以上の売り上げをあげたとのこと。若者を中心に最近流行している「セルフィー(自撮り)」を前提として仕組まれたアクセサリーですね。ターゲットに格好の「撮影・投稿ネタ」を提供することにより、話題化を為し得たシンプルながら目の付け所が鋭い施策でした。

6.最後のセルフィー。パンダが伝える、WWFのメッセージとは?

[国名:デンマーク/団体名:WWF]

人類が自然と調和して生きられる未来を目指し、約100カ国で活動している環境保全団体WWF。同団体が流行りのセルフィーと動物をかけあわせることで、絶滅危惧種の問題について啓発し、寄付を呼びかけるべく実施した広告キャンペーン。

絶滅危惧種の動物達がまるで人間のように、自分で自分の写真を撮り、そこにコメントを載せたというストーリーでクリエイティブを作りました。コピーは…

“in 6 seconds I’ll be gone forever but you can still save my kind #lastselfie
(6秒後には僕はいなくなってしまうかもしれない。でも#lastselfieでキミは僕を助けられるかもよ。)”

ハッシュタグも、テーマに合わせて“lastselfie(最後のセルフィー)”としました。インパクトあるクロースアップの写真で訴求したWWFの啓蒙広告でした。

7.ポイントは“自撮り”! Instagramの投稿写真をメディア化した斬新なプロモーション

[国名:スウェーデン/企業名:Friskis & Svettis]

スウェーデンのフィットネスクラブ・Friskis & Svettisが仕掛けたユーザー参加型キャンペーン。日々数多く投稿されるInstagramの写真の中でも、自分で自分のことを撮影した“自撮り写真”が圧倒的に多く、中でも頑張ってる自分をアピールしたいのか、ジムの鏡の前で撮影した写真が多く目に留まります。

そんなインサイトに着目した同社は、毎日Instagramに投稿されるジムでの“自撮り写真”を『広告』として利用することができないかと考えました。そして考案されたアイディアが、同社の社名入りTシャツを作成し、ジムの会員に配布するという施策。会員には、そのTシャツを着用してもらった上で、いつも通り自由に鏡越しにセルフショットを撮ってInstagramに投稿してもらうだけ。

ポイントはこのTシャツ、ただのTシャツではなく、ミラー越しに撮影することを見込んで、あえて反転プリントを施していました。Tシャツは主な会員に郵送された他、ジムでも無償で配布され、2700枚制作したTシャツは3日でなくなってしまうほど人気を集めたといいます。

会員たちが撮影した写真は、ストックホルムでよく使われているトレーニング関係のハッシュタグを用いて次々にInstagramに投稿されました。反響は絶大でTシャツを着て撮影されたセルフショット写真の掲載ページは膨大な数にのぼり、数百万ものインプレッションを得ることに成功しました。Instagramユーザーのインサイト(≒ナルシシズム)を巧みについた斬新なプロモーションでした。

8.動画再生数160万超!究極の“自撮り術”を指導してくれる「セルフィー学校」

[国名:USA/企業名:DELL]

世界中の若者を中心に流行している、「セルフィー(自撮り)」。SNS上で日々数えきれない程のセルフィーが投稿されている今、より美しいセルフィーを撮り、より多くのポジティブフィードバックを得たいというのは、多くの若者に共通する願いの一つであると言っても過言ではありません。

そんなインサイトに着目した米PCメーカーのDellと半導体メーカーのIntelは、両社が推進する“Learning Meets Doing”(実践から学ぼう)キャンペーンの一環として、若者の大きな関心事の一つである「セルフィー(自撮り)」に着目したCMを制作しました。

「セルフィーは、最高の自己表現方法である」と話す、自称“セルフィースペシャリスト”の女性。この女性は“セルフィー上達センター”に通っており、多くの若者にセルフィーの上手な撮り方を指導しています。さすが“セルフィースペシャリスト”だけあって、彼女の腕はセルフィーを撮る時の形で固まってしまっており、“permanent selfie arm”(永久的セルフィー腕)としてしかるべき治療を受けているとか。食事をしているときも、街中を歩いているときも、いつも腕は“セルフィー撮影ポーズ”のままであるため、予期せずタクシーを止めてしまうこともあります。

そんな彼女が、究極のセルフィーを撮るための重要ポイントとして挙げるのが、“腕の角度”・“背景”そして、“何かをしている自分を撮影するためのマルチタスク能力”。彼女の祖母は史上初のセルフィーを撮影した人であるとのオチもついており、相当重かったであろう当時のカメラを片腕で支えるだけの筋肉は今なお健在であることが映し出されました。

この動画はもちろん架空の物語ですが、「DellとIntelは、学びと実践と最高のセルフィー撮りをサポートします」というメッセージでCMは締めくくられます。

9.“変顔セルフィー”が突きつける息を呑むメッセージ

[国名:ブラジル/団体名:IPTRAN]

ブラジルのリオデジャネイロで、IPTRANというNGO団体が実施したプリントキャンペーン。『セロテープ・セルフィー』と題されたこのビジュアルは、実は飲酒運転防止を啓発するためのもの。セロテープを顔面に張ることで、いわゆる「変顔」を作って撮影された自撮り写真。コピーを読むと、このビジュアルの本当のメッセージがわかります。

“It’s not funny when it’s forever. Avoid accidents. Don’t drink and drive.”
(これが永遠だったら、面白いことじゃありません。事故を避けましょう。飲酒運転をやめましょう。)

このビジュアルは、単なる「変顔」ではなく「事故に合って変わり果ててしまった顔」を暗に意味したものでした。インパクトあるビジュアルで見る人を惹き付け、コピーでドキッとさせる巧みなプリント広告でした。

10.世界初!? 老舗マヨネーズブランドが手掛けた『ハンバーガー・セルフィー』

老舗マヨネーズブランド・Hellmann’sが、イギリスでセルフィーをテーマに実施したサマーキャンペーン。今回実施したのはハンバーガーのパテを“黒いキャンバス”に見立てて、その上にマヨネーズでお客さんの顔を描くという試み。

セルフィー・パテを行う専用車の前には長い行列ができました。パテに顔を描く作業は全てコンピューターが行います。作業員がすることは、スマートフォンで顔写真を撮ることだけ。顔写真はパソコン内で処理され、後はマシンが自動的にマヨネーズで顔を描いてくれます。

世界初!?となるハンバーガー・セルフィーに来店客の多くは笑顔を見せたようです。夏の楽しい思い出の一つになるかもしれない、“夏をハッキングする”セルフィーキャンペーンでした。

(番外編)本物の美しさとは何か? “最も美しいもの”がわかるDoveのプリクラ

When You’re Smiling / Gülümseyince Güzelsin from In Situ on Vimeo.

[国名:トルコ/ブランド名:DOVE]

パーソナルケアブランド大手Doveが、過剰な装飾をするのではなく“ありのままの姿こそが美しい”というブランドコンセプトを体感できる装置をトルコで開発しました。

“Real Beauty”、「本物の美」を追求することをテーマに掲げるDoveが生み出したのは、写真を撮って即座にプリントしてくれるいわゆるプリクラ。しかし、このプリクラにはシャッターボタンがなく、鏡の前で見せる“美しい笑顔”がシャッターボタンの代わりとなるように設計されています。女性が鏡の前で“笑顔”を見せると、自動的にシャッターが下り、写真撮影が完了し、写真が出てくるという仕掛けです。

女性たちが鏡に映った自分の笑顔と向き合うことで、“ありのままの笑顔溢れる自分自身こそが最高に美しいもの”ということを実体験できるインタラクティブな装置。セルフィー(自撮り)をする機会も多いであろう若い女性に向けて、自信を与えるようなDOVEらしい試みでした。

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