2012年ソーシャルとリアルを連携した世界の秀逸なプロモーション10選
Case:2012 World Social media Promotion
今年世界各地で実施された、ソーシャルメディアとリアルを連携させたユニークなプロモーションをまとめて紹介します。
「その手があったか!」と思わず膝を叩いてしまうようなソーシャルメディアを活用したユニークなケースの数々をご覧ください。
1.あなたの“親切な行い”が貨幣になる!?おとぎ話のようなチョコレートショップがデンマークにOPEN!
デンマークの老舗チョコレートブランドAnthon Bergが手掛けたプロモーション。企画のコンセプトは、お金やクレジットカードではなく、『大切な人への親切な行いを実施すること』を約束することにより、同ブランドのチョコを購入できる特別なお店を期間限定でオープンするというもの。
店内に陳列されている全ての商品の値札には、価格の代わりに30種類以上の様々な『親切な行い』が記載されています。例えば、「ガールフレンドの運転に1週間ケチをつけない」、「愛する人のベッドサイドに朝食を持っていく」、「1ヵ月間女友達の陰口を言わない」、「友達の家の掃除を手伝う」などなど。
そしてこのお店のレジでは、iPadを使った特別な“支払い”が要求されます。お客さん自身が選んだ商品の値札に書かれている「親切な行い」を実行する相手をFacebookの友達から選び、その行いを“必ず実施する”というメッセージ(約束)をFacebookで送ることにより“支払い”は完了となります。
このプロモーションの結果、お店の外には長蛇の列ができ、老若男女問わず大勢のお客さんがチョコレートを無料でゲットして大喜びだったそうです。そして、お客さんそれぞれが大切な人への『親切な行い』を滞りなく実行し、さらにAnthon BergのFacebookページに写真付で約束を守った模様を多数投稿しました。
2.Facebookファンが800%増加した「Jeep」のゲーミフィケーション・プログラム
オフロード・カーの代表格Jeepのアンビエントプロモーション。Jeepといえば、長い伝統と高い悪路走破性により独自の地位を築いたブランドですが、そんなブランドイメージにドンピシャで合致する『位置情報』を活用したゲーム型プロモーション。
人が足を踏み入れるのが困難な秘境に、Jeepの特製“デジタルバッヂ”をゲーム参加者への「宝」としてばらまきます。このゲームに参加する全てのプレイヤーには、バッヂの正確な位置が刻まれたデジタル地図が配布され、プレイヤーがバッヂのある場所に実際に足を運び、スマホでFacebookを起動してチェックインすることで始めてバッヂを入手することが可能になります。
最終的に最も数多くのバッヂを獲得したユーザーにはJeepのグランド・チェロキーが与えられるという企画でした。
このプロモーションには、2000人以上がプレイヤーとして参加し、その結果、期間中同ブランドのWebサイトには25万人からのアクセスがあり、Facebookページのファン数は800%増加しました。
3.MINIのFacebookファン獲得キャンペーン「ファンになって、火をつけて、車をゲットしよう!」
コンパクトカーMINIによるFacebookページの新規ファンを獲得するためのプロモーション。Facebookページのファンを獲得するための手法として、『ある期間中にファンになってくれた人の中から抽選や、コンテスト企画の上位者に○○○をプレゼント!』というプロモーションはよく実施されていますが、この事例はそんなケースの中でもかなり異質です。
同社はモーターショーが行われている会場の近隣駐車場に、なだらかなスロープのある特設ステージを設け、そのスロープに新型SUVモデル「カントリーマン」を太いロープで結んだ状態で設置。(※太いロープで「カントリーマン」を吊るしていないとそのまま坂道を下ってしまう状態です)
この車に結ばれたロープの下には、ガス・バーナーが配置されており、さらにその部分が24時間撮影されています。Facebookページのファンになった人は、Facebookページからリモートコントロールで、このガス・バーナーに少しの間火をつける権利が与えられ、その模様をWebページ上でLIVEで閲覧することができます。そして運よく「ロープを焼き切った」ファンには、スロープを滑り落ちた「カントリーマン」本体が与えられるという企画でした。
「ファンになって、火をつけて、カントリーマンをゲットしよう!」というのがこのプロモーションの標語。このインスタレーションを設置した場所が『モーターショーが行われている会場の近隣駐車場』ということもあり、近くを通りかかった車好きな人にも「何これ?!」と思わせることで、WEBだけでなく、リアル起点からもバズを誘発させようと意図したのではないかと推測されます。
4.ドイツのアウトドアブランド、ソーシャルメディアと連動した体験型看板広告でPRも大成功
アウトドアブランドEVOCによる新しく発売するバックパックの頑強さを訴求するために仕掛けたユニークな看板広告。(こちらのバックパックは独自のテクノロジーで開発されたシールド構造で、背後からのどんな衝撃も吸収して利用者を脊髄損傷から守るというのがウリだそうです)
同社はベルリンの街中に『絶対に壊すことができない看板広告』を設置。こちらの看板はいわゆる『パンチングマシーン』仕様になっており、ミットの代わりに同社のバックパックを市民に全力で殴ったり、蹴ったり、体当たりしてもらって衝撃を加えてもらうという企画。看板広告の上部に衝撃度合(何キロだったか)も表示されます。
衝撃の度に当事者の写真が撮影されて、EVOCのFacebookページに記録とともにリアルタイムで投稿されます。『衝撃の大きさ』によって、EVOCのPRキャラクターの男性の反応が異なるのも見どころ。力の弱い女性のパンチには「今殴ったのかい?」的な挑発的なメッセージも投げかけたりします。そして参加したユーザー達には、Facebookにアップされた自身の写真と記録にタグを付けて友人たちにシェアすることを促します。
看板広告の設置期間中、平均で1時間97人のユーザーが参加して、このイベントの模様は各種ソーシャルメディアを通じて広く波及。Facebookのユーザーアクティブ率も急上昇しました。加えて、雑誌やオンラインメディアでも多数パブリシティを獲得できたそうです。
5.“世界最安値のタクシー乗り場”とTwitterを連動させた電気自動車のPR
日産の電気自動車LEAFのロンドン市内で実施したアンビエントプロモーション。電気自動車LEAFの通常打ち出している“エコロジーでクール”という側面ではなく、経済面でのメリット(燃費効率の良さ)を訴求することが狙い。事実、LEAFを1台満タンにするのにかかるお金は2£(=245円)未満で、一般的なガソリン自動車の6分の1の燃費性能だと豪語しています。
同社はそんな燃費効率の良さを訴求するために、ロンドン市内に『世界で一番安いタクシー乗り場』を設置。こちらは通常のタクシーの6分の1の料金で市民が利用できるサービスで、お客さんは『#6xcheaper』というハッシュタグをつけて、行き先をTwitterでツイートするだけでこのタクシーを利用することができるという仕掛け。
利用者は皆さん満面の笑みだったそうです。エコロジーや新しさだけではなびかないけど、「安さ」には反応する層にフォーカスしたユニークなプロモーションですね。マーケットを拡大していくにはエコだけを打ち出していくのも限界がありますからね。面白いアプローチです。
6.ツイートするとアイスティーが1本タダに!世界初の「ツイート自販機」が南アフリカに登場
南アフリカのアイスティーブランド「BOS」が実施した、自販機を使ったユニークなサンプリング。同社がプロモーション用に設置した特殊な自販機の電子パネルに『ツイートしてくれたらタダであげるよ』というメッセージが表示されており、ユーザーが「@bos」宛にハッシュタグ「#BOSTWEET4T」をつけてツイートすることで、新商品のドリンクが目の前の自販機から1本落ちてくるという仕掛け。
ターゲットに対してただサンプリングするのではなく、ちょっとしたイベントごとにできているのがいいですね。
7.ケロッグ、新商品のPRで世界初の“ツイート・ショップ”をロンドンにオープン
大手シリアルメーカーケロッグが新商品の“Special K Cracker Crisp”を訴求するために仕掛けたプロモーション。コンセプトは『世界初のツイートショップ』。こちらのショップでは、お客さんがお金の代わりに、新商品についてその場でツイートすることで商品現物をもらえるという仕掛け。
こちらのショップは4日間限定での開店。「ツイート自販機」と同様にサンプリング行為をイベント化しています。
店舗を訪れた人のツイートによる宣伝効果を狙っているというよりも、この斬新な試みによる、メディアのパブリシティ効果を期待しているようです。実際かなり様々なメディアでアウトプットに繋がっているみたいです。
8.Instagramユーザーのインサイトを逆手に取った、NYのレストランの斬新な取り組み『The Instagram menu』
大人気写真共有SNSインスタグラムを活用した、NYにある人気レストラン「Comodo」によるユニークな取り組み。インスタグラムのユーザーにとって、レストランで食べた料理を写真撮影して投稿することはごく一般的で、それどころか何が何でも料理の写真を撮影してアップしなくては気が済まない人すらいるそうですが、当施策はインスタグラムユーザーのそんな習慣、インサイトを逆手にとった企画。
「Comodo」では、お客さんが注文する際に見るメニューの最下部に、『インスタグラムでハッシュタグ“#comodomenu”のついた料理のイメージを見てみて』と記載しました。お客さんがインスタグラム内でハッシュタグ“#comodomenu”で検索すると、「Comodo」で食事をした他のお客さんが撮影、投稿した料理の写真が見られるという仕掛けです。お客さんによる料理の写真投稿により、写真がメインの新たなメニューができるというコンセプトのため、今回の企画は『The instagram menu』と名付けられています。
注文をする際、どんな料理なのか料理のイメージがつかず、なかなか注文を決められない時には、他のお客さんが投稿した料理の写真をみて、イメージを膨らませることができるというメリットがあります。同時に知人がどのメニューをレコメンドしているかも簡単に把握することができます。お客さん自身が撮影したという点で料理の『信憑性』という点でプラスに働きそうです。
この施策は同時に、料理の写真を指定のハッシュタグをつけてインスタグラムでアップすることで、“他のお客さんに自分の撮影した写真を見てもらえるチャンスを増やせる”、“自分が撮影した写真がお店の新しメニューになる”という点で、写真投稿者のいわゆる『承認欲求』を満たすことにも繋がります。
9. シューズブランドによるInstagramを使ったサプライズプロモーション
世界的なシューズブランド「ALDO」が、イスラエルで実施したサプライズプロモーション。テルアビブ市内の道の真ん中に、ベルがついた掲示板を立て、その掲示板の下には、「WELCOME」と書かれたマットが敷かれています。掲示板には、そのマットの上に立って自分の靴の写真を撮って、インスタグラムにハッシュタグ“#aldo“付で、自分の靴のサイズを記入して写真を投稿し、最後に「ベルを鳴らす」ように明記されています。
歩行者が実際にそのようにしてみると、嬉しいサプライズが起こります。ベルを押してから120秒以内に、ALDOのロゴとリボンがついた巨大な箱がその場に届けられ、それをあけると自分の足のサイズにぴったりの靴が入っていてそのまま貰えるという企画。
ベルは1日で合計457回鳴らされて、同数以上(貰った靴の写真も含まれるため)のハッシュタグ付の写真がインスタグラムにアップされました。
写真は共有等されることで、トータルの接触者は、798,000人超だったそうです。
10.ホンダのPinterestキャンペーン “Pinterestからちょっと離れて、外で楽しもうよ!”
Pinterestを活用したホンダの新型CRVのプロモーション。ネット上でひたすら素敵な写真を収集する『ピン行為』をし続けるのをちょっとだけやめて、新型CRVのコンセプトである「外に出て人生を楽しもうよ!」ということを伝えるのが狙いの企画。
同社はまずアクティブで影響力のあるPinterestユーザー5人をピックアップして、彼らに“Pintermission”(ピンタレスト×ミッション)というオファーを出します。その“Pintermission”の内容は、「24時間、Pinterestから離れて、外出してがっつり人生を楽しんできてください!そして、自身のPinterestアカウントで“Pintermission”専用boardを立ち上げて、外で人生を謳歌している様子(写真・動画)をPinしてください。この任務を無事遂行してくれたら、500ドルを差し上げましょう」というもの。
5人のPinterestユーザーに送られたインビテーションは各ユーザーの好みにあうようにカスタマイズされた素敵なデザインが特徴で、当然このインビテーション自体をPinされることを狙ってのクリエイティブだと思われます。さらに、5人のPinterestユーザーから彼らのフォロワーに対して“Pintermission”を呼びかけてもらうためのクリエイティブを、5種類用意して、自身のボードにピンすることを促しています。(『“Pintermission”中で外出しているから、明日会いましょう!』と表現したクリエイティブなどこちらもユーザーによってカスタマイズして配布)
5人のPinterestユーザーを起点として、新型CRVの世界観(コンセプト)を一風変わった手法で広げようとするコミュニケーション。ユーザー5人それぞれの過去のPinterestでのPinの傾向を分析して、彼らそれぞれの好みにカスタマイズしたクリエイティブの配布がポイントの一つのようです。
デザイン費やオファー代(2500ドル)程度の低予算の実験的なプロモーションのようですが、話題性が奏功してウェブ上である程度カバレッジも獲得できているようでした。
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